2009/08/19

ハリー・ポッターと謎のプリンス

基本的に、ファンタジーは苦手ですが・・・

ハリー・ポッターシリーズの第6作を見てきました。
基本的に、ファンタジー映画は苦手なんですが、それを第6作まで見続けるというのは、私の中では異例中の異例です。

率直に言うと、今回の第6作は、ハリー・ポッター最終話へ続く“つなぎ”でしかなく、今までのシリーズの中ではトーンが少し落ちた感じがしました。
そして、ファンタジー映画が苦手な私が、なぜ、このハリー・ポッターシリーズを見続けてきたのか、少し理由が分かった気がしました。

ハリー・ポッターと謎のプリンス

大人が見ても納得するために

児童書を原作とするハリー・ポッター映画版が、大人の映画ファンにも受けいれられるようにした目玉の一つに、
「イギリス演劇界の豪華キャスティング」
があります。

今までのシリーズにスポット参加していたケネス・ブラナーエマ・トンプソンや、準レギュラー化していたヘレナ・ボナム・カーターゲイリー・オールドマンレイフ・ファインズ、そして、レギュラーのアラン・リックマンマギー・スミスなど等、他にも、イギリスのベテラン俳優がずらずら出てくるのが魅力の一つで、私は、彼らの演技を見るのが、この映画を見る楽しみの一つになっていました。
この俳優たちの演技を見るために、このハリー・ポッターを見続けてきたんだなぁと思ったんです。

ハリー・ポッターと謎のプリンス

目玉俳優の欠落

ところが、今回、そのうち、シリウス・ブラックを演じているゲイリー・オールドマンと、ヴォルテモート卿を演じているレイフ・ファインズが出ていない!
私自身、自分が思った以上に彼らの登場をとても楽しみにしていたらしく、
なんで今回は、ヴォルテモートとの直接対決が無いんだと、がっかりしてしまいました(ーー;)
そのがっかり感が、今回、私に中だるみ感を思わせた要因の一つになりました。
ゲイリー・オールドマンについては、確か、アメリカ映画業界の労働組合の関係で出られなくなってしまったと思ったけれど、原作があるとはいえ、代わりとなるような強烈なキャラを立てて欲しかったような気もします。

豪華俳優陣の中、今回、際立っていたのが、“魔女”ヘレナ・ボナム・カーターでした。
セリフは少ないながらも、“悪い魔女”の雰囲気がピッタリで、内心、「眺めのいい部屋」の彼女はどこへ行ったんだろう・・・( ̄_ ̄)と思いつつも、やっぱり、「さすが!」の威圧感で、“魔女パワー”炸裂でした。

それに、今回、重要な鍵を握るのがアラン・リックマンです。
ダイ・ハード」でもお馴染みで、誰もが知る名優ですし、最後まで“善”なのか“悪”なのかを判断しきれない微妙な立ち位置を見事に演じていたのは分かりますが、予想の範囲を超える演技を見ることはできず、やはり、これは、次回へ気を持たせる“つなぎ”なのかな・・・と思ってしまいました。

ハリー・ポッターと謎のプリンス

残念なグイディッチ

そして、今回は、今まで比べてメリハリがあまり利いていない気がしました。
私がハリー・ポッターシリーズで、好きな場面の一つに“グイディッチ”の競技シーンがあります。
サッカーでもなく、ポロでもなく、ホッケーでもないあたりが、とてもイギリスらしいし、何より、迫り来るスピード感が好きなんですが、今回の“グイディッチ”は、スポーツの高揚感のようなものが出し切れていなかったような気がします。

ハリー・ポッターと謎のプリンス

ホグワーツは恋の季節

あまりメリハリの無いアクションシーンの代わりというわけでもないでしょうが、今回、目玉となったのは、思春期を迎えたハリーたちに訪れた“恋の季節”です。
そうね・・・、それって、熱狂的なファンには必要なシーンでも、私には、あまり興味が沸かず・・・。

それよりも、私が期待していたのは、前回、ダークサイドに引きずり込まれそうになった自分の“暗部”に気付いてしまったハリーが、どんな風に成長していくんだろうというハリーの精神面の成長だったのですが、その描写はあまり無く・・・。
次回へ持ち越しなんでしょうかねぇ?

ハリー・ポッターと謎のプリンス

最終話への期待

そう文句を言いつつも、きっと最終話も見るに違いなく、きっと、最終話は、ゲイリー・オールドマンは出られなくても、レイフ・ファインズが活躍することに違いなく、舞台は学校を超えて、スケールも大きくなるはずなので、次回を楽しみにしたいと思います。

ハリー・ポッターと謎のプリンス 公式サイト


8月 19, 2009 映画-ハ行(アメリカ), 映画-合作・その他, 映画-英国 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2009/07/10

愛を読むひと

原作は「朗読者」

世界的ベストセラー小説「朗読者」の映画化であり、ケイト・ウインスレットがアカデミー主演女優賞を受賞した作品です。
15歳の少年がその夏に出会ったのは、36歳の美しい独身女性。
しかし、彼女はには秘密があった…。

この「朗読者」日本で発売された当初に泣きながら読んだ本で、ほぼストーリーは知っていたのですが、また、後半はほぼ泣いていたのでした(-.-;)

今回、この映画を見終わってから、ただひたすらに、マイケルの行動について考えていました。

愛を読むひと

ハンナを檻に閉じ込めたマイケルの想い

マイケルがハンナの秘密を最後まで明かさなかったのは、ハンナに対する優しさか、復讐か、ただの意気地無しか…。

私個人の結論としては、意気地無しであり、復讐だと思うんです。
なぜなら、私が同じ立場だったら、全く同じ行動をするだろうと考えたからです。

もしも、久しぶりに再会して、自分のことを少しも思っていなかったらどうしようという、意気地無さと、あんなつらい思いをさせておいて、そう簡単に助けることなんかできないという復讐心。

マイケルの心は15歳の夏に止まってしまっていたんです。
ハンナの刑が確定した時、マイケルが見せるなんとも言えない涙顔は、これでようやく自分の物にしたかのような、安堵感を感じます。

それならば、素直に面会に行けばいいものの、後ろめたさか、どうでもいいプライドが邪魔するのか、結局、合わずに、朗読テープを選ぶのです。


だから、タイトルは「朗読者」なのに、なんで、「愛を読むひと」なんてタイトルになっちゃったんだか、残念です。

ハンナにとって、キッドは所詮、一生キッド

しかし、結局、最後までハンナはマイケルの一歩も二歩も先を歩いていて、常にマイケルの手には届かない人なのです。

だからといって、ハンナはマイケルが疎ましかったのではなく、キッドはいつまでもキッドでいて欲しかっただけで、ハンナが欲しかったのは、「文字を読めるちから」だったのです。

あぁ、他にもナチの問題や文盲の問題がありますが、私には、何より二人の関係性に注目して見ました。

この「朗読者」の主役をケイト・ウインスレットが演じると聞いて、ピッタリだと思ったのですが、なにより、マイケルが、本から飛び出してきたみたいにピッタリしていてビックリしました。

原作を読んだ人も、そうでない人にもオススメの映画です。

7月 10, 2009 映画-ア行(アメリカ), 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2008/09/07

TOKYO!

★3本の短編からなるオムニバス映画です。
 個人的にオムニバスってあまり好きではないのですが、ミシェル・ゴンドリー × レオス・カラックス × ポン・ジュノ + 蒼井優 と知り、
 「私の大好きな才能盛り沢山!絶対見なきゃ~ w(゚o゚)w」
と思い、ラッキーなことに地元のシネコンで上映していたので、見に行ってきました。

★この才能の集め方のセンス。最高。
 一部のマニア向けかと思いきや、予想以上に客席が埋まっていたので、まだまだ映画好きっているんだなと少しホッとしたのでした。

ミシェル・ゴンドリー「インテリア・デザイン」

Tokyo_1

 ミシェル・ゴンドリーの映画ってすっごくぶっ飛んでるイメージなんですよ。いつも。
全身毛だらけの女の人が出てきたり、真っ赤に髪を染めたぶっ飛び女が出てきたり…、その割りにおとなしいなぁと思ったのは、東京自体がぶっ飛んでる??
 
 彼が見たTOKYOのイメージは、狭くて、ジメジメして、景色の悪い部屋に高い金を出して住んでいる若者たち。
 終いには、彼らがインテリアの一部になってしまう。
 その部屋のジメジメ感といい、狭さといい、妙にリアルで良い感じです。
 いつも日本のテレビドラマで
 「あり得ねーだろ」
 って感じの、広くて素敵な部屋に住んでいるOLさんの描き方が、気持ち悪かったのですよ。
 それりゃ~、欧米の人達から見たら、ぶっ飛んだ生活かもね。
 しかも、インテリアの一部になっていくあたり、唐突で奇妙で違和感たっぷりなのですが、そのぶっ飛び感がゴンドリー流で楽しかったです。


レオス・カラックス 「メルド」

 Tokyo_2

 観る前に一番期待していたのは、このカラックスでした。
 「ポンヌフの恋人」以来ですよ。16年経ってるんだってさぁ~∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
 久しぶりのカラックスに過剰な期待をし、見終わった後、もっとも退屈だったのはコレでした。

 カラックスの考えてることを、正確に理解しようとするのは、まぁ、ほぼ無理だと思っているので、あまり考えずに見ましたが、彼の見たTOKYOは、敗戦という過去や荒地だった東京を下敷きに今があって、さらに、“菊”に象徴される伝統を食いつぶしていると、そんな東京は一旦ぶち壊してしまったらどうかと。
 そんな提案のように見えました。

 その象徴として登場するのが、“メルド(=糞)”という名の下水道に住む緑の怪物です。フランスの核実験が生んだのがゴジラなら、伝統や愛国心を捨てた日本が生んだのがメルドです。

 そう考えると、かなり辛らつなんですが、「東京」と言いながら、東京で探すのが難しいフランス人(彼の常連ドニ・ラヴァン)を主役にし、そうなるとジュリエット・ビノシュのいないカラックスは、やはり、迫力や説得力に欠け、常に暗い雰囲気の画面は退屈に感じてしまうのです。

ポン・ジュノ 「シェイキング・トウキョウ」
 このオムニバスの中で、一番面白かったのは、このポン・ジュノでした。
 まぁ、お気に入りの蒼井優ちゃんが出てるので、多少贔屓目ではありますが・・・。
 超高層ビルが乱立する姿だけじゃない東京をちゃんと描いてくれていましたし、オタク文化の日本の根底にある家に引きこもりがちな人々の姿も正確に描写してくれたように思います。

 彼の見た東京は、几帳面で、読書家で、引きこもりがちで、ロボットのように正確な動きをする日本人であり、よく地震の起きる町です。

 香川照之が引きこもりの主人公を演じ、蒼井優が、彼の心をはじめて乱す女の子を演じています。

 私って日本人なんだなぁと思うのは、この香川照之の家はそこら中本だらけなんですよ。でね、「驚くかもしれないが、僕はここにある本をほとんど全部読んだ」
って感じのセリフがありまして、
「驚かないだろう~、10年も引きこもりしてたら、それぐらい読めるだろ~」
と思ってしまったのですが、日本人ですよね~、海外の人は、そんなに本読まないんですよね。

 ちょっと神経症気味で、内気な男性を香川照之が好演しているのはもちろんですが、冒頭とラストに登場する蒼井優は、相変わらず良い演技を見せてくれます。
 頭とラストでは、表情も立ち振る舞いも全く違います。
 期待を裏切りません。

 さらに、ちょうど中間あたりである大物が登場しますが、これが超いい味を出しています。彼の登場は知らずに見て欲しいので、名前は伏せておきますが、会場は爆笑に包まれていました。
 かなり楽しかったです。

 
★最後に、共通して気になったのは、彼らの描く日本人はどれも、無気力なんですよ。
 昔の日本人といったら、働き蜂で、一年中働いていたイメージだったと思うのですが、今回では、将来に不安を感じ、仕事もやりがいより、生活ための義務で、嫌になったら辞めればいいし、周りの人と上手くコミュニケーションをとれない姿が描かれていました。
 ある意味リアルなのですが、外国人が描くほどにその姿が伝わってしまうのかと思うと、もっと元気な姿を見せていかないといけないなぁと感じたのでした。 

9月 7, 2008 映画-仏, 映画-合作・その他, 映画-日本, 映画-韓国 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/06/16

幻影師 アイゼンハイム

★エドワード・ノートンという人は、この世界で最高級の俳優だと思っています。
 彼の作品は、どんな作品でも見たいのです。
 今年の夏には、
「ノートン、何を血迷った??」
と私の頭の中に?が満載の「超人ハルク」が来ますが、その前に、昨年アメリカで小規模ヒットしたこの映画が来ていたので、見てきました。

Illusionist

★今回のノートンは、身分違いの恋に悩むイリュージョニストを演じています。
まぁ、簡単に言えばメロドラマですよ。
彼の純愛を成就させるために、すべてのものを欺こうとする青年です。

★共演者も、仕事もプライベートも絶好調のジェシカ・ビールに、年々評価が高まるポール・ジアマッティと旬な組み合わせです。

★先ほども言いましたが、ノートンの演技は最高レベルです。
 この場合の最高レベルとは、どんな演技を言っているのか?と思うでしょう?
 それは、どんな役を演じても、普通の人には
 「これは地でやってるな」
 と思わせてしまう“自然さ”です。
 『真実の行方』の精神障害者風青年も、『ファイト・クラブ』の多重人格者も、『レッド・ドラゴン』のFBI捜査官も、その存在を忘れてしまいそうになるぐらい自然に入り込んでしまっています。
 個人的には、デ・ニーロと共演した『スコア』も好きです。

★今回も、彼の演技は完璧です。
 恋する青年であり、人の目を眩ますイリュージョニストでもありました。

★しかしですねぇ、何か物足りないんですよ。

★まず、ストーリーの展開が最後まで読めちゃいました。
 これは、半分宣伝部に罪があると思います。
 「最後にどんでん返しが待っている」
 みたいな売り方をしてはいけません。
 完全に最後まで読めちゃいました。

★ノートンの演技は完璧ながら、
 「これはほかの人でもやれる」
 と、思わせる役でした。
 “どんな役でも果敢にチャレンジしていこう”なんてレベルの俳優ではありません。
 彼本人は、人の意識を越えた、無意識の中でこっそりと裏をかくイリュージョニストも、ほとんどやったことがない本格的メロドラマもチャレンジしたかったに違いない。
 けれども、ノートンにはノートンにしかできないことをして欲しいと、つい思うのです。

★結局、“物語全体が観客の心を惑わすイリュージョン”であったはずが、そのタネがスクリーンのこちら側から全部お見通しでした・・・。
 という残念な映画だったのです。

幻影師 アイゼンハイム 公式サイト

6月 16, 2008 映画-カ行(アメリカ), 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (4)

2008/03/02

クィーン

★土曜日にWOWOWで放送された映画『クィーン』を見ました。

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★ダイアナ妃が事故死してから、葬儀が行われるまでの数日間のエリザベス女王の姿が描かれています。

★ダイアナ妃を“悲しみのプリンセス”として追悼文を即発表し、国民からの株を上げたブレア首相と、葬儀直前まで沈黙を守り続けたために「冷たい女」と国民から思われてしまったクィーンの対比が考えさせられる映画です。

★一般人的考え方からすると、
 例えば、ある家庭の息子夫婦が離婚したとする。
 離婚後、嫁は海外に行ったり、友人たちと遊んでいて、充実しているように見えます。
 しばらくして、その嫁が事故死しました。
 でも、(離婚したにも関わらず)彼女はその家族に対してよくやってくれたからと、我が家族で葬式を出しましょう。
 なんてことがありますか?

★まぁ、もちろん、この家(王室)は、一般人とかけ離れた次元で生活している人たちですので、この例はあてはまらないかもしれないけれど、
「王室は働きもせず、税金を浪費している」
と批判するならば、王室を一旦出て行ったものに対して葬儀を行うということが、浪費になるのではないかと、思う一面もあるんですよね。

★でもね、そんな考え方では、時代の流れにはのれないのですよ。
 国民を味方にしてしまった方が勝ちなんです。
 誰も「浪費している」なんて文句言わないんですよ。

★そのことに対する、考え方の対立なんですよね。
 うまく時代に乗って、人気を集めたブレアと、伝統を守り抜こうとするクィーンと、その母の古臭い体質を変えて、あくまでも見た目優先で王室のイメージアップを図ろうとするチャールズ皇太子。

★10年経った今となっては、クィーンは今でもクィーンであり、人気ががた落ちで失脚してしまったブレア。
 今見ると、ブレアの姿もなんだか皮肉に見えます。

★この映画自体はタイトルも、『クィーン』というだけあって、エリザベス女王に対し、同情的な視線で作られています。

★それも手伝って、女王に同情しながら見ていました。
 それに、この映画を見るまでは、エリザベス女王に対し、“冷たそう”という先入観もあったし、彼女に対しすごく誤解していたことにも、今回新たに気付きました。
 それって、作られたキャラだったのですね。

★この映画に出てくるクィーンはとても魅力的なんです。
 品があって、頭がキレて、回転も速く、イギリス人らしくちょっと皮肉屋。
 誰よりも、孫たちの将来を考えていたし、何よりも(自分よりも)王室を優先させる女性。
 働く女性の鑑のような人です。

★最近の王室をめぐる出来事は、彼女にとって受け入れ難いもの。
 それでも、時代に合わせていかなければならないと、聞き入れたくもないアドバイスを受け入れていくんです。
 これねぇ、簡単なようで、なかなかできないことだと思うんですよね。
 でも、彼女には「イギリス人の4人に1人が王制反対」という現実の手前、嫌な選択や、方針も、伝統を打ち破ることも、受け入れていくしか道が無いんです。
 ここがねぇ、すごくグッときました。
 彼女が今まで教育されて守ってきたものが、ほんの一瞬で崩れていってしまう・・・。
 でも、彼女がそこでも毅然としてひるまず、国民や首相や家族に対してさえも弱みを見せることは無い。
 その姿にグッときたんです。

★王室のためなら、いつでも自分は2番目、感情は表に出してはいけない。
 そこが、「冷たい人」だと思われてしまうゆえんなのでしょう。
 中には、イギリスという国そのものを皮肉っている部分もある映画ではありますが、このような“クィーンの本質”を描こうとする映画が存在すること自体、彼女にとって多少の救いになっているんじゃないかと思うのです。

★じっくりと、良質な映画を見たい人にオススメの作品です。

3月 2, 2008 映画-仏, 映画-合作・その他, 映画-英国 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007/10/22

最近見たDVD

週に一日ぐらいはお休みを・・・。
と思っているので、日曜日はお休みするようにしています。
が、午前中半日はヨガにとられてしまうし、スーパーヘの買出しやら、アイロンがけやら、夕食の支度やらが待っているので、そんなに長い時間は休めません。
でも、一日家の中でぼんやりテレビ見ているのも苦手なので、ちょうどいいかも。

その短い休みの中で、なるべくDVDで映画を見る時間を作っています。
そこが私の栄養補給になっています。

ここ三週間ぐらいで見たDVDを紹介します。

・ココシリ
・明日の記憶
・ピンクパンサー
・ドッジボール
・博士の愛した数式

【ココシリ】
チベットに生息する絶滅危惧種チベットカモシカを守る自警団と、乱獲する人たちとの対立の物語です。
映画的にどうこうというより、中国は、チベットとか、環境保護などに対し、全くの無関心だと思っていたので、こういう映画が話題になったということが驚きでした。

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【明日の記憶】
ようやくDVDで見ました。
『私の頭の中の消しゴム』と重なる部分もあって、それほどの衝撃はありませんでしたが、こんな日がいつか来るかと思うと怖いです。

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【ピンクパンサー】
笑えるおバカ映画です。
ジャン・レノはそろそろ将来をちゃんと考えた方がいいように思います。

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【ドッジボール】
こちらもおバカ映画です。
ベン・スティーラーのオーバーアクティングがかなり笑えます。
アメリカではドッジボールはマイナースポーツだということを初めて知りました。
エンドクレジットの後、最後の最後に出てくるベン・スティーラーにオマケ的なおいしさがあります。

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【博士の愛した数式】
原作は泣きながら読みました。
が、原作のココは大事にして欲しい、とか、ここにスポットを当てて欲しいと思うところは、読んだ人によって千差万別なんだなと改めて思いました。
私は、もっと義姉と義弟の関係をもう少し丁寧に描いて欲しかったのです。
原作ほどの感動はありませんでした。

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10月 22, 2007 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/10/10

パンズ・ラビリンス

初めてこの映画の映像を見たのは、今年のアカデミー賞授賞式でのことでした。
なんだろう。
すごく不思議な世界観があって、「あぁ観たいなぁ」と思ったんだけど、その当時(2月)の時点で、秋公開予定と出ていたので、「何だよ秋かよ。遠いぃじゃん」と思ったのでした。
が、案外近かったね(^^;)
「なんだ、もう観れんのか」って感じかな。
歳取って、日が過ぎるのが早くなったってこと??

Pans_labyrinth1

舞台は第二次大戦終結間際のスペイン。
そこでは、独裁政治が行われていて、抵抗運動を続けるゲリラは山の中に潜伏。
オフェリアの新しい父将軍は、そのゲリラを消滅させるために家族を連れて山の中に基地を設置。
オフェリアと弟を妊娠している母もその戦争に巻き込まれてしまうのです。

Pans_labyrinth2

まぁ、正直言いまして、そんな戦争がからんでいるような話だと思っていなかったのですよ。
だから、見始めたときも、時代背景として戦争があって、徐々にファンタジーになるんだろうなって思っていたのです。

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ところが、そこが大違いで、戦争はこの映画で大きなテーマになっていて、戦争で犠牲なった無実の人たちを何とか救ってあげたいと願う思いが夢の国を作り上げるのですよ。
正に、ある少女の願いが作り上げる夢であり、それが痛切なファンタジーなのです。
その奥はとっても深いのです。
すごく手が込んでいて、じっくりと作り上げられている映画です。

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で、また、その王国(迷宮)がなんだろう、夢溢れる世界って訳ではなく、ちょっと怖いのね。
天使がカマキリのような虫の姿をしていたり、神の使いが悪の使いのようだったり、でっかいカエルがいたり、目のない怪人がいたりする。
そこがまた、面白いんですよ。
『ロード・オブ・ザ・リング』のホビットの国みたいな平和な感じは一切なし。
そんな夢のような世界は、簡単には手に入らない。
見た目の不気味さにひるまず、勇気を持って、信念の行動をした者のみが夢の国にいくことができるのですね。

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最初から最後まで、戦争という悲惨な現実と、その不思議な夢の国を交互に見せるんです。
で、最後の満月の夜に、この悲惨な現実と、夢の世界が出会うのです。
ここがねぇ、それはどうなのよ!って考えさせられるんですよ。

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その考えさせられることが、この映画の狙いです。
世界中の人に、“戦争がもたらすもの”について、考えて欲しいと願う気持ちなのです。
多くの人が死んで、多くの人が悲しい思いをして、それは、多くが、母であり、子であり、弱者であり、善人なのです。

彼らが本当に救われる世界がこの裏にあるのならいいけれど・・・。

深い映画です。

パンズ・ラビリンス 公式サイト

10月 10, 2007 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/09

題名のない子守唄

土曜日の朝一の回、10時半からこの映画を観たのですが、朝からちょっと重かった…。
『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督ジュゼッペ・トルナトーレの最新イタリア映画です。

本編が始まる前、監督のメッセージとして
「この映画のラストには、ある秘密があります。
どうか周りの人にお話にならないように」
とありました。

Komoriuta_1

そう言われてしまうと、どこまで言っていいもんなのかちょっと考えてしまいます。
そのセリフで思い出すのは、『シックス・センス』ですが、この映画にそれほどの衝撃があるかというと、そうでもなく・・・。

お話は…
ウクライナからイタリアへやってきたイレーナは、ある金細工工房の家庭の家政婦として働き始めます。
どうやら、彼女がその家族に近づくのには理由があるようで…。

日本では、ある大臣が「女は子どもを産む機械」と口を滑らし大問題になりましたが、この映画のテーマはまさにそれ。

Komoriuta_2

ヨーロッパの貧しい地域では、売春婦たちに仕事をさせた後、妊娠・出産すると、その子供たちを裕福な家庭に売り飛ばすという人身売買ビジネスが存在する様子が描かれています。

そんなビジネスがイタリアを舞台に行われていることが衝撃的でした。

この映画、イタリアの映画賞を総なめしたそうなので、現地では現実味のある話なのかも。

この映画によれば、どうやら東欧の貧しい地域に住む女性たちに、仕事を選択する自由はなく、恋をする自由も無ければ、産んだ子供を育てる自由もなさそうで…。

気が重くなる話でしょう…。

Komoriuta_3

売春婦たちは生き延びるために、そんな悲しい過去を捨てようと、新たな人生を歩き出そうとしますが、過去はどこまでも追いかけてきます。
その逃走劇がサスペンスタッチで描かれています。

あまりにも多くの悲しみがこの映画につまっています。
しかし、唯一の救いはラストにあります。
トルナトーレらしい、優しいぬくもりがラストにあります。
でも、しゃべってはいけないらしいので、ここではお話しません。

Komoriuta_4

それに比べて、遠くの日本でのほほんと暮らしている私にとっては、想像もつかないようなお話に圧倒されまくりでした。
こんな生活している人が「女は子どもを産む機械」なんてことを聞いたら、怒りまくるでしょうね。

題名のない子守唄 公式サイト

10月 9, 2007 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/09/25

大いなる休暇

カナダ映画です。
見たかったんだぁこれ。

いやぁ、いい映画でした。

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カナダの小さな島が舞台です。

漁業が島を支えてきましたが、過疎化が進み、漁業も衰退、島民は生活保護で暮らしています。
そこへ、工場誘致の話が持ち上がり、島民はその気になりますが、条件が一つ。
それは、島に医者がいること。
小さな島には医者がいないので、ほぼ無理矢理コカイン不法所持の医者を1ヶ月の社会奉仕として島に呼び、彼に島を気に入ってもらい、そこに住んでもらおうとしますが・・・。

Ooinaru_kyuuka2

無医村・過疎化なんて聞くと、ちょっと重そうな感じしますが、コメディタッチに仕上がっているので、そんなことは全くありません。

それどころか、最初から最後まで笑えるシーンがちりばめられた上に、いい話で心がほっこりと温かくなります。

島のね、おじいちゃんたちがいいんだ。
みんな言いたい放題でさぁ、島民がみんな家族・親戚みたいな近さがあってね。
生まれてから島を一度も見たことなくて、タクシーもバスも知らない人もいるし。
のんびりしてるしねぇ。

Ooinaru_kyuuka3

こんなステキな島に工場が来るなんて、どちらかと言えばちょっと残念だけど、ここで休暇を取れるんだったらいいよねぇ。
ブロードバンドさえつながるなら(もちろん携帯も・・)、ここで生活できるなぁ。
お魚おいしそうだしね。

日本の島でもこんな島あるんだろうね。
過疎化で若い人がいなくて、医者もいなくて、島民の多くは生活の保護で暮らしてるって。
Webデザイナーなんて、移住したところでなんの力にもなれないですが、医者ってのはとっても重要なお仕事なんだなぁとつくづく感じたのです。

1ヶ月ぐらいの体験島民だったら、私もしてみたいな。

お休みの日に、心を温かくしたい人にオススメの映画です。

大いなる休暇 公式サイト

9月 25, 2007 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/02/16

イノセント・ボイス -12歳の戦場-

2004年のメキシコ映画。
エルサルバドルという小さな国の内戦を舞台にしたこの映画は、頭痛がするほど泣いてしまった(T-T)
世界を変えようなんて大きなことは言わないけれど、この映画に出てくる子どもたちと同じような思いをしている少年たちが世界中で一人でも少なくなることを願うばかり。
一人でも多くの人に観てほしい一本。innocent_voice1

<STORY>
1980年エルサルバドルは、政府軍と市民ゲリラによる反乱軍の間で内戦が起きていた。
11歳になるチャバ(カルロス・パディジャ)は、母(レオノラ・ヴァレラ)と姉と小さな弟の4人で暮らしていた。
父が出て行ってしまったチャバの家では、チャバが父親代わりとなって兄弟を支えていた。
母には毎日「外出禁止時間までに帰りなさい」と言われる。
外出禁止時間が終わると、政府軍と反乱軍の間で戦闘が始まるからだった。
チャバが住む町は首都に近く、戦闘の激戦地にあった。
昼は学校に行き、夕方は友達と外で走り回り、夜は食事をする時間に銃が乱射され、家族で急いでベッドの下に潜り込むような毎日だった。
そんな境遇にあっても、同じクラスの女の子クリスティナに想いを寄せ、楽しい毎日を過ごすチャバだったが、心配事が一つあった。
それは、12歳になると政府軍が子どもたちを兵士にするために連れ去ることだった。
12歳の誕生日まであと少し、チャバがいなくなると家族を支える人がいなくなってしまう。
それは、チャバと家族にとって最も来てほしくない一日だった・・。

innocent_voice2
これは、脚本を書いたオスカー・トレスの自伝的映画。
はじまって30分ぐらいでもう泣いてた。
それはぁ、怖さ半分、悲しさ半分って感じなんだよね。

何が怖いって、家の中を銃が飛び交う銃撃戦。
もうね、耐えられないね。
運が悪ければ、銃撃戦の流れ弾に当たって死ぬかも知れない。
そんな世界。
大人の私も、あまりの怖さに涙が出た。

何が悲しいって、少年たちに常に緊張感を強いられていること。
この辺の心理は、戦時下にある国の子どもたちはみんな一緒だと思うけど、常に、兵士として連れて行かれるという怖さ、兵士になったら次は、ゲリラだけでなく市民が自分の敵のようで怖くなり、自分は死にたくないから、ひたすらライフルを撃ち続ける恐怖感、友人の死、愛する人の死。

innocent_voice3
子どもというのは、政治とは全く関係のない世界にいる。
選挙権があるわけでもないし、政治について判断する知識も無い。
でも、そんな少年たちを兵士にして働かせることがこの当時のエルサルバドルや、今のアフリカでは当たり前のように起きている。
しかも、このエルサルバドルでは、ゲリラではなく、国がそんなことをしている。
それは、国として最も貧しく、卑劣で、残酷な行為だと、この映画を見ながらつくづく感じてしまった。
そんなエルサルバドルを軍事指導していたアメリカの罪は大きい。

innocent_voice4そんなこの映画にとって、救いなのは主役のチャバが誰よりも明るく、愛嬌があって、賢く、優しいこと。
まだわずか11歳なのに、家族のために命を投げ出すこともあり、仲間を思いやり、いつだって友達を楽しませるムードメーカーになっている。
初恋のクリスティナに歌を歌うシーンなんか、本当にかわいくて。
やばい、書きながらまた泣けてきた・・(^^;)
母親に対する愛情は誰よりも強い。
バスの大好きなチャバが、バスでバイトして、時にはガソリン吸っちゃったり(^▽^;)、バスとかけっこしたり、稼いだバイト代はお母さんに必ず渡す。
親孝行でいい子なんだよねぇ。

そのチャバが後半に経験するできごとは、本当に見てられなかった。
足を引きずりながらも真っ黒になって歩き回るお母さんを見ながら涙が止まらなかった。
もしかしたら、チャバは運が良い子だったかもしれない。
それでも、彼が12歳にして経験したことはあまりにもつらすぎる。
なんか、どうしよう、どうしよう・・と思いながら映画が終わったとき、腰抜かすかと思うぐらいヘナヘナしちゃった。


エルサルバドルでは12年続いた内戦だったけど、アフリカの小さな国々では同じような内戦が今も起きていて、チャバのように銃弾に怯えながら夜を過ごしている子どもたちがたくさんいる。
どうしたら、そんな目に遭う子供たちを減らすことができるんだろう・・。
映画を観て、こんなことが二度と起きてはいけないと学ぶけど、それでは何も変わらないのが悲しい。
だから、一人でも多くの人に観て欲しいと願う。

世界中で一人でも多くの少年兵が救われることを願う一本

イノセント・ボイス -12歳の戦場- 公式サイト

2月 16, 2006 映画-合作・その他 | | コメント (2) | トラックバック (24)

2006/02/04

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

アカデミー賞 外国語映画賞 ノミネート作品
第55回 ベルリン国際映画祭 銀熊賞(最優秀監督賞・最優秀女優賞)
    全キリスト教コンペ部門最優秀賞 受賞作品
sophie_sholl1

このブログをリニューアル・オープンしてから約半年強。
初めてのドイツ映画かな?
ってことは、ドイツ映画を見るのは久しぶりってことね。
最後に見たドイツ映画がなかなか思い浮かばないので、もしかしたら、『ES』以来かも・・・(ーー;)
この映画、たくさん賞を受賞している作品らしく、なるほど、圧倒的な緊迫感と精神的迫力を感じる映画なのですよ。
特に主人公である、ゾフィーの生き方に圧倒されちゃってねぇ。
またしても、泣いてしまったわけで・・・。

<STORY>
1943年、第二次大戦中のドイツ・ミュンヘンで暮らすゾフィー(ユリア・イェンチ)は、音楽が大好きな普通の21歳の女の子だった。
しかし、彼女にはもう一つの顔がある。
彼女は、兄とその友人たちと共に反ナチスのレジスタンス活動を行っている。
彼らの組織は『白バラ』と言い、ナチスによって伝えられない戦争の実態を国民に伝えることを使命と感じて活動していた。
いつものように、ビラを郵送する準備を整えた白バラだったが、数多くのビラが郵送できずにあまってしまう。
それを見たゾフィーの兄・ハンス(ファビアン・ヒンリヒス)は、そのあまったビラを大学で配ることを提案。
仲間たちは、反対するがゾフィーは兄の意見に賛成し、翌朝二人で大学の校舎に向かう。
授業が終わる直前に入り込み、多くのビラを各廊下に配り終え、校舎を出ようとした瞬間、ゾフィーの手にはまだ多くのビラが余っていた。
ハンスがその余りも配る決断をし、残りのビラも全て配り終えた瞬間、チャイムが鳴り、ゾフィーはそれを吹き抜けの最上階から下階にばら撒く。
何事もなかったかのように帰ろうとする二人だったが、大学関係者に捕まってしまう。
そのまま、二人は逮捕、拘留されてしまう。
「兄の手伝いをしていただけ」のゾフィーは、その日のうちに帰れるはずだったのだが、尋問官ロベルト・モーア(アレクサンダー・ヘルト)の尋問を受けるうちに、ゾフィーが白バラに深く関わっていたことがわかってしまう・・。

sophie_sholl2
まずね、この白バラの存在ってものを知らなくて (^^;)
こんなに若くて、そんな勇気を持ってレジスタンス活動をしていた人がいたってことが驚きなのよ。
驚きなのは、それだけじゃなく、自分がどんなに窮地に立たされても、決して自分の信念を失うことなく、堂々と、ゲシュタポに対しても第二次大戦に対する持論を語り続けるのね。
なんて素晴らしい生き方なんだろうと思うよね。
命乞いや仲間を売ることなんか絶対にしない。
なかなかできることじゃないよね。
私だったら、即泣き出しそうな状況だったよ。

後半の裁判のあたりからドキドキしながら涙が流れた。sophie_sholl3
あんなに、ひどい裁判官の裁判でも自分を失わず(見ている私が、自分を失ってキレそうだったのに・・)、表情はドイツや世界の平和を願う希望を捨てず、両親に会っても泣き言一つ言わなかった。
あぁ、どうやったらそんな風に生きれるんでしょう。
私は、裁判中に両親が登場するシーンでズキーーンときてしまった。
自分がどんなにひどい目に遭おうとも、自分の子供たちを誇りに思う。
胸を張って平和を子供たちを弁護する両親には、ジーンとくるねぇ。

ゾフィは、どうしてそんなに冷静なんだろうと思ったとき、独房に入れられた彼女は、はじめて叫ぶ。
あぁ、やはり彼女は、これからも生き続けたい21歳なんだ。
と思ったら、涙が溢れてしまって・・。
ゾフィに最期のタバコをあげた看守も、見届けに来た尋問官も、ゾフィーが真実を語っていることに気付いている。
でも、誰もゾフィーを助けることができない。
そのどうにもならない現実が歯がゆくて悲しい。

sophie_sholl4
主役のゾフィーを演じたユリア・イェンチは、昨年の『ヒトラー~最期の12日間~』にも出ていたそうで・・。
まだ見てないんだよね・・。
どんな状況にあっても、まっすぐ前を見て、取り乱すことなく自分の信念を語り続ける姿は本物のゾフィーが乗り移っているんじゃないだろうか・・という気迫さえ感じるのね。
今後が楽しみな女優さんなので、ドイツ映画もチェックすべしね。

監督のマルク・ローテムントは、37歳。
若い監督が、第二次大戦中にドイツがしてきたことについて描いているという点に注目よね。
ドイツがまたしても、ナチスがいた頃のような状態に戻るとは考えにくいけど、若い人たちが常に当時を振り返り、言論の自由について考えさせられる映画を作っていくってことが大事なんだろうねぇ。

今回は、白バラと言われるレジスタンス活動を知らなかったので、白バラについての本でも読んでみたいなぁと思った。
そうやって、私のようなドイツから遠く離れたところに住んでいる30代の人間が、第二次大戦について考えてみようと思うだけで、この映画の存在意義があるのね。
ゾフィーのように命がけの人生を送りたいとは言わないけれど(^^;)、信念を貫き通す生き様にいろいろと考えさせられたなぁ。

平和な時代に、平和のありがたさを感じたい一本。

白バラの祈り 公式サイト


2月 4, 2006 映画-合作・その他 | | コメント (11) | トラックバック (34)

2006/01/30

単騎、千里を走る。

このところ、仕事に追われ、出張に行ったりしていたので、映画を観に行く時間もなく、ブログの更新もせず、コメントやトラバの返しも遅れてしまいました。
コメント、トラックバックを送っていただいた皆さま、必ずお返事致しますので、もう少しお待ち下さい。
ご迷惑をお掛けしておりますm(_ _)m

riding_alone1そんな忙しい日々の中で、思うことはただ一つ。
「映画館に行きたい~!!」
そして、昨日、念願叶って時間ができたのでチャン・イーモウの新作であるこの映画を見てきたのですぅ~。
あぁやっぱりチャン・イーモウが描く田舎はいいなぁと思い、高倉健は日本の宝だと実感し、中国人と日本人の心の交流に涙々。
まぁとにかく、いい映画なの。

<STORY>
高田剛一(高倉健)は、田舎の漁村で細々と暮らす漁師。
10年前に息子の健一とつまらないケンカをして絶縁状態になって以来会っていないのだが、健一の嫁・理恵(寺島しのぶ)から健一が病気で入院したとの便りが届く。
久しぶりに上京して、息子の病室を訪れるが「会いたくない」と門前払いされてしまう。
息子に拒絶されてしまった剛一は会わずに帰ろうとするが、追いかけてきた理恵に一本のビデオを渡される。
中国文化を研究している健一が中国で取材している姿を写したビデオだという。
家に帰ってから剛一が早速ビデオを見てみると、剛一は中国の仮面劇を取材しており、俳優のリー・ジャーミンに歌を歌って欲しいと頼んでいるところだった。
しかし、リー・ジャーミンは、「今日は歌えないので次に会ったときに歌ってあげるよ」と言い、結局歌ってもらえなかったという映像だった。
そのビデオを見た剛一は、リー・ジャーミンと健一の間にできた約束を健一の代わりに果たそうと一人で中国に飛ぶのだが・・・。

riding_alone2
人って温かいんだなぁ。
反日感情ってのはどこにあるんだろう。
そんなことを思わず考えさせられる映画だった。

ズバリテーマは「人と人とのコミュニケーション」なんだけど、人付き合いの苦手な老人が単身中国を旅して、病気の息子のためにある目的を果たそうとするんだけど、大切なのは目的を果たすことよりも、人の温かさを知ることだったというお話なんだよね。

それがさぁ、全く言葉が通じない剛一に対する村人たちの優しさに温かい気持ちになるんだよねぇ。
日本語ができないガイドのチュー・リン。
剛一の告白に心を打たれる役人たち。
彼を喜ばせようと必死な刑務所の看守。
お互いに心が通じなくても心を通わせるヤンヤンと剛一。

特に、ヤンヤンに会いに行ったときの村人たちの歓迎っぷりが本当に心打たれたなぁ。
携帯がつながらないなら、電話貸してあげなよ(^^;)と思いつつ、みんなで高台まで電話を掛けに行く姿が妙におかしい。
遠くからお客さんが来たからと、町中のテーブルを引っ張り出して、お祭り騒ぎのお食事会も面白い。
この辺の田舎の描き方は、さすがチャン・イーモウよねぇ。
温かさが村人の表情からにじみ出てるもんね。

riding_alone3
泣いたシーンはいっぱいあるけれど、一番印象的なのは、泣いたシーンではなく、微笑ましく笑ったシーンだった。父親を知らないヤンヤンと、息子と10年絶縁状態にあった剛一の心の交流。
人付き合いが苦手で、言葉の通じない剛一が少年と一晩過ごすことで、コミュニケーションの大切さを思い知るんだよね。
それは、「あの頃を思い出して欲しい」と息子の健一が言っているようにも見えるシーンであり、ヤンヤンの意思を尊重する姿は、健一の意思を尊重してこなかった後悔の現れのようにも見えるんだよなぁ。
また、ヤンヤンがかわいいんだよねぇ。

riding_alone4
とても70代とは思えない高倉健はもちろん素晴らしかったけれど、日本でのシーンに登場する寺島しのぶもいい。
私は、映画の冒頭から寺島しのぶの告白で既に泣きそうだったから。
この人は、数少ないセリフに情感たっぷり込めてしゃべる人なんだよねぇ。
彼女の、夫を思い、義父を思う姿に泣けちゃうんだよねぇ。

人付き合いって面倒くさいこともあるよね。
気が会う人ばかりじゃないし、誤解も生まれるし、聞かれたくないこと聞かれちゃったりもする。
でも、「そんなリスクを背負っても、人と接して欲しい」とこの映画は願ってる。
面倒くさいからと引きこもってしまわずに、一歩前に出て欲しいと言っている。
中国人は日本人を嫌っていると錯覚を感じてしまうことがある。
でも、それはホンの一部であり、実際会ってみるとお互い分かり合えるはず。
それも、この映画が気付かせてくれたこと。

riding_alone5剛一は、息子にプレゼントを贈るはずだったのに、逆に息子からステキなプレゼントをもらったようだった。
見知らぬ人の中を単騎で走っているつもりが、最後には大勢の友人たちに囲まれ支えられていた。
そんな映画なんだよね。

私も、この映画からステキなプレゼントをもらったような気分になった。

多くの日本人に見て欲しい一本。

単騎、千里を走る。 公式サイト

1月 30, 2006 映画-中国, 映画-合作・その他, 映画-日本 | | コメント (23)

2006/01/20

ある子供

昨年、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したベルギーとフランスの合作映画。
ダルデンヌ兄弟の作品を観るのは、『ロゼッタ』、『息子のまなざし』に続いて3作目。
どんな境遇にある人も受け入れようとする心の許容範囲の広さと視線の温かさを感じる映画だった。

arukodomo
<STORY>
10代のカップルであるソニア(デボラ・フランソワ)とブリュノ(ジェレミー・レニエ)の間に赤ちゃんが生まれた。
国から助けられながらも、子供を懸命に育てようとするソニア。
そんな彼女に対し、ブリュノは子供が生まれる前と変わらず、盗みを働いたり、物乞いをしたりしながらその日暮らしの生活をしている。
あるとき、ブリュノは子供を高く買っている人がいることを知る。
そして、物を売るのと同じように子供を売ってしまう。
ところが、その話を聞いたソニアはその場で意識を失い、入院してしまう。
それ以来、ソニアに拒絶されてしまうブリュノは子供を取り戻そうとするのだが・・・。

これはですねぇ、もう本当にブリュノにイラつくのね。
子供を売ってしまうことに罪悪感を感じないことにはもちろん、仕事もしないし、道行く人に小銭をねだったり、幼い子供を窃盗に巻き込んだり・・。
ついね、「働けよ!!」って説教したくなるぐらいにイラつく。
でもね、女子は子供を産むことで母性が目覚めるけれど、まだまだ精神的に子供の男子にとって「子供ができたからといって父性に目覚めるってわけじゃないんだな」ってことを考え始めるのよね。

arukodomo1私だってね、20歳のころは、バイトすることと遊ぶことしか考えてなかったよ。
ある日突然子供ができて、「あなたは今日からお母さんです」と言われちゃったら、今だったら何とかなるかもしれないけれど、当時はパニックだったと思うし、「どうやって今の生活を維持しよう・・・」と思ったに違いないよね。
ブリュノは男子だから余計父親になった実感なんてないと思うし、他人から見たらゴミみたいな生活しているかもしれないけれど、彼の中ではそんなゴミみたいな生活がすべてなんだよね。
でも、終盤、そんなブリュノも罪悪感を感じるときがやってくる。
するとね、あんなにイラついてたのに、突然ブリュノがかわいそうだと思っちゃうんだよね。
あんなにダラシナイ!!と思っていたのに。

最後にはブリュノには同情してしまう。
そこがね、ダルデンヌ兄弟の優しさだと思うの。
本人が何もかもを失って、罪悪感を感じるまで待ち続けるの。
恐らく、私も含めて多くの大人は、ブリュノみたいな子供を見放しちゃうと思うんだよね。
ダルデンヌ兄弟はそうじゃなく、いつかはその罪悪感に目覚めるときが来ると信じてるんだよね。
私だったら見捨ててしまうところを、この映画は見守り続けてる。
そのとき、「あぁやさしい人なんだなぁ」と実感。
ラストにソニアと向き合うブリュノにジーーーーンとしてしまった。

ニートが急増して、少子化が加速する日本でも、このブリュノとソニアのようなカップルがいてもおかしくない。
映画の中で、ソニアに子育てを教える社会福祉の係員が訪れたシーンが印象的だった。
子育てに不安を抱える若い母親を支援する社会福祉が充実しているんだなぁと思って。
日本でも、育児を支える社会福祉が充実すれば出産率が上がるかもしれないよね。

主人公である若い二人、特に精神的に大人になれないブリュノを受け入れられない人もいると思う。
でも、これからの社会は、こういう人たちが確実に増えていくんだと思いながら、ありのままの彼らを見て、彼らの気持ちを感じてみることも必要なんだろうと思うな。

お時間があったら、若い二人の生き方を考えてほしい一本。

ある子供 公式サイト

1月 20, 2006 映画-仏, 映画-合作・その他 | | コメント (7) | トラックバック (40)

2006/01/17

歓びを歌にのせて

今年の初泣きはこの映画だった。
2004年にスウェーデンで制作されたこの映画は、「心を解放させる音楽」についての奇跡を描いた映画だった。
泣けた~。yorokobiwoutani1

<STORY>
世界的な音楽家ダニエル(ミカエル・ニュクピスト)は、8年先までスケジュールが埋まっているような売れっ子なのだが、心臓発作で倒れてしまう。
運良く一命を取り留めるが、非常に危険な状態であり、医者より安静と療養を勧められ、15歳にデビューして以来、初めてスケジュールが何も埋まっていない時を迎えた。
そんな彼が向かったのは、幼い頃に母と過ごした田舎町だった。
小さい頃からバイオリンばかり弾いていたダニエルは、当時同級生にいじめられていたのだが、デビューを機に改名していたのでダニエルが当時の彼だと誰も気付かない。
そこで、自然の音を聴きながらひっそり暮らすつもりのダニエルだったが、聖歌隊の指揮者をしないかと頼まれる。
あまり気乗りのしない彼だったが、とりあえず、‘聞いてみるだけ’と練習に行ってみると、そこではスーパーで知り合ったレナ(フリーダ・ハルグレン)もいて、彼らは楽しそうに歌っていた。
そんな彼らを見たその瞬間に、聖歌隊の指揮者を引き受けたダニエルだったが・・・。

yorokobiwoutani2ダニエルは一回死にかけた時に、神様から指令を与えられたんじゃないかと思う。
「ちいさな田舎町に行って、住民たちを救って来なさい」そんな感じで。
閉鎖的な町で、自分を押し殺すように生きている彼らを救うために、彼は天使になって町を再度訪れた。
だってね、一見、明るく見える町人たちも、その心はとても傷ついてるの。
知らぬ間に愛する男にだまされていたレナ、アル中の夫からDV(家庭内暴力)を受けていたガブリエラ、その職業ゆえに欲望を押し殺し、心が歪んでしまった牧師とその妻・・・etc。
そんな彼らにダニエルが歌を歌わせることで、ドンドン心が解放されていくのね。
その解放されていく姿が本当に感動的で。
町人たちの嬉しそうな表情を見てるだけで泣けてくるのよ。

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神様は、ダニエルにも天使を与えたの。
自転車に乗ることもできず、人を嫌いになることも、好きなることも知らない。
そんな人間的な楽しみ方を何も知らないダニエルに、人生の素晴らしさを教えたのはレナだった。
レナに対してどんな風にふるまっていいのか分からないダニエルの姿は、まるで少年のよう。
そのときに気付く。
彼は、愛するお母さんを失ってから、ただひたすら音楽だけをして、人を愛すること、好きになることを忘れてしまっていたんだよね。
そのダニエルの前に羽を広げて現れたレナは天使。
また、彼女の笑顔が本当にステキで~。
見ているほうも幸せを感じる笑顔だったなぁ。

yorokobiwoutani4
一番印象に残るのは、夫からの暴力で傷ついた身と心を歌で解放させるガブリエラの歌。
いや~、彼女は本当に声が素晴らしい。
それもそのはず、スウェーデンでは、ミュージカルにも出ている歌手だそうで。
「音楽は人を解放する」ことを実感できるシーンであり、その歌う姿の表情を見ているだけで泣ける。
歌、そのものもステキなんだよね~。


ダニエルが町人たちに与えた喜びは、ラストに集結する。
彼らがその歓びを世界に向けて放つとき、世界は彼らに呼応する。
その歌声は、神がダニエルに与えた花道ように見えた。
「よくやった。ダニエル」神のそんな声が聞こえてきそうなラストだった。

「人を好きになるということは、一緒にいて幸せを感じること」
あぁ、そうだった。
なんて、当たり前のことを忘れてしまっている私にとって、心がホカァと温まる映画だった。

全ての人にオススメの一本。

歓びを歌にのせて 公式サイト

1月 17, 2006 映画-合作・その他 | | コメント (15) | トラックバック (52)

2005/12/13

ヴェニスの商人

最近ね、といっても、2~3週間前の話だけど、夢にねアル・パチーノが出てきたのよ。
夢の中でさぁ、私たちお友達になってね。
アルってばさぁ、思った以上に小柄で気さくで良いヤツでさぁ(笑)
こりゃぁ、「『ヴェニスの商人』見ろよ」ってお告げだと思って、もうすぐ終わりそうだったから見に行って来たよ。
映画はねぇ、とにかくとても豪華で贅沢な作品でございました。merchant_of_venice

<STORY>
16世紀のヴェニス。
貿易商・アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)は、世界各地で商売をするために、全財産を4つに分けそれを船に乗せ、現在航行中だった。
そのアントーニオを訪れたのは、親友のバッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)。
彼は、莫大な遺産を相続した美女・ポーシャ(リン・コリンズ)にプロポーズする資金を借りに来たのだった。
しかし、アントーニオの全財産は船の上。
そこで、アントーニオは、ヴェニスの高利貸し・シャイロック(アル・パチーノ)からその金を借りることになった。
だが、シャイロックはユダヤ人であり、アントーニオはそのユダヤ人を毛嫌いしていた。
アントーニオに人種差別を受けていることを根に持つシャイロックは、「3ヶ月以内に金を返済できない場合は、アントーニオの肉1ポンドをその代わりに差し出すこと」を条件に金を貸すことに。
そして、予定通りバッサーニオはポーシャの元へ。
その時、アントーニオへよくないニュースが届く。
彼の全財産を積んだ船が四艘とも沈没したという・・。
それを聞いたシャイロックは、日頃の恨みをはらすべく訴訟を起こすのだが・・・。

merchant_of_venice1
これはねぇ、とても大昔に書かれた古典とは思えない面白さがあるの。
次に何が起きるのか予想できないサスペンスであり、女性の地位が低い時代にもかかわらず世の中を裏で動かしているのは女性だったり、ユダヤ人の迫害について書かれていたり。
まぁ、でも、シェークスピアの作品はいつでも物語の核を握っているのは女性なので、シェークスピアならではだけどね。

その女性の描き方でこの作品を見ると、まず、男性があまりにも素直で、実直で、困難を前にオロオロしていたのに比べて、女性、特にバッサーニオが恋するポーシャは、その困難を楽しんでいるのが分かる。
特に裁判のシーンでは、観客の心をグッとつかむ術も心得ているあたり、お見事。
愛する男を心配するどころか、彼が動揺しているのを横目に余裕さえ感じられる。
すごいよなぁ。
「お礼として、あなたの指輪を下さい」なんて、言っているシーンは、なんだかすごくおかしくて、クスクス笑っちゃった。
だって、そこでもまた、バッサーニオがオロオロしちゃってるんだもん。

もう一人の策士は、シャイロックの娘、ジェシカ。
実は、一番最初にシャイロックを窮地に追い込んだのは彼女だった。
お金を持ち出して家出をするときも、すでに改宗を決心しているあたりも、女のしたたかさを感じる。
しかし、父が孤立無援になったとき、自分がしたことを悔やむあたり、娘としての父への思いも感じる。
彼女のサイドストーリーが、メインストーリーを裏で盛り上げていたなぁ。

この映画が、すごく豪華になっているのは、そのキャスティング。merchant_of_venice2
以前、朝日新聞に掲載されたインタビューで、アル・パチーノは
「ピアニストであれば必ずモーツァルトを弾くように、俳優だったら必ずシェイクスピアをやれ」って言ってた。
なるほど、アル・パチーノ版シャイロック、彼なりの迫力があったね。
いかにも金に汚く、心が狭い男を一目で分かるように演じるあたりは、さすが。
最後の、孤立無援になってしまったシャイロックの立ち姿は、とても印象的。

アントーニオを演じたジェレミー・アイアンズのちょっとくたびれたヴェニスの商人は、貫禄を感じたなぁ。
いつもは、迫力満点な男を演じるのに、事業に失敗してしまった陰のようなものが見えていたのよね。
張りのある低音が彼の魅力なんだけど、このアントーニオは、小声でコソコソしゃべる。
ヒソヒソ、コソコソした感じがくたびれた感じを演出してて良かったねぇ。

この中で、私の目当ては、ジョセフ・ファインズ。
いつ見ても金髪の兄さんと似てないなぁって思うんだけど、彼はシェークスピアが良く似合う男だよねぇ。
なんかね、すごく自然にこの世界に馴染んでいるんだよね。
アントーニオの前では甘えん坊であり、ポーシャの前では誠実という、したたかな男・バッサーニオ。
いいんだよなぁ、歯の浮くようなセリフ言ってるときの表情とか、愛する(?)アントーニオが窮地に追い込まれちゃったときのオロオロぶりとか。
私、このファインズ家弟、結構お気に入りね。

そして、彼らベテラン俳優とならんで堂々とポーシャを演じた、リン・コリンズ。merchant_of_venice3
私、今回初めて観たんだけど、まだ26歳??
貫禄あるし、大金を相続した女性のオーラみたいなものを感じるんだよね。
今までは舞台にたったり、映画では脇役とかやってたみたいね。
いや~、良い女優が出てきたね。
これからが楽しみ。

もちろん、彼らを演出した監督の力量といったらすごいよね。
マイケル・ラドフォード、次回作が非常に楽しみな監督ね。

merchant_of_venice4
ラストは、シャイロックがキリスト教に改宗することを言い渡されるけれど、当時は、それが正義だったわけで。
現代にそれを見ると、なんて非情なことを・・と思うよね。
シェイクスピアは何を思ってそうしたんだろう。
それが、正義だと思ったんだろうか、それとも、迫害されているユダヤ教の窮状を訴えたかったのだろうか・・。
いやぁ、それが正義だと思ったんだろうなぁ。
でも、皮肉なことにこの作品で、ユダヤ人の迫害の歴史が良く分かってしまったね。
ユダヤ教の人たちは、この演劇をどのように見るだろうか・・。

そんなわけで、女性のしたたかさを知り、俳優の演技の素晴らしい競演を楽しみ、ユダヤ教の迫害について考えたり・・、そんな色々な楽しみ方ができる贅沢な映画なので、シェークスピアが好きな人も、苦手な人も是非、観ることをオススメします。

ヴェニスの商人 公式サイト

12月 13, 2005 映画-ア行(アメリカ), 映画-合作・その他, 映画-英国 | | コメント (12) | トラックバック (38)

2005/11/08

理想の女(ひと)

これすごく観たかったんだけど、なかなか機会が無くて、終映間近になってようやく観れた。
観てよかったよ~♪
すごくいい映画だったぁ~。
a_good_woman


<STORY>
1930年イタリアの高級別荘地アマルフィ。
メグ(スカーレット・ヨハンソン)とロバート・ウィンダミア(マーク・アンバース)は、地元の社交界でも注目を集める若き美男美女夫婦だ。
二人がアマルフィで暮らし始めて数日後、ロバートにスキャンダルが持ち上がる。
ロバートがステラ・アーリン(ヘレン・ハント)という女性と一緒にいるところを目撃されてしまう。
その後も、ロバートがステラの滞在するアパートに出入りしているところが目撃され、ステラはその後、大きな別荘へ引っ越す。
その別荘もロバートがお金を提供しているという噂まで持ち上がる。
密かにメグに思いを寄せるロバートの友人・ダーリントン卿(スティーヴン・キャンベル=モア)は、その隙にメグに近づく。
それ以来、社交界ではすっかり悪女のイメージが定着したステラだったが、メグは、なぜ彼女が悪女扱いされているのかを知らず、ロバートの愛情を信じていた。
しかし、資産家のタピィ(トム・ウィルキンソン)は、密かにステラの魅力を見抜いていた・・・。
a_good_woman1これはですね、イタリアの避暑地が舞台になっていまして、その社交界での人間模様が描かれた映画なのですよ。
その時代は、戦前なので、イタリアに独裁政権が生まれる前の話で、とにかく華やかで贅沢な人たちが出てくるの。
が、金持ちってのは暇なんだね。
お茶とか酒飲みながら、噂話ばっかりしてるのよ。
その華やかな舞台を背景にすると、いやらしい噂話も引き立つのね。

噂の的は、ステラ(ヘレン・ハント)。
ステラは男たらしで、いやしい女。そう言われ続けるの。
観ている私も、その噂話もすっかり信じちゃって、「そうか、ステラは悪女なのね」と思って観ているわけ。
そうすると、貞淑な若妻であるメグ(スカーレット・ヨハンソン)は、悪女のせいで夫の愛情を疑っちゃうんだよね。
a_good_woman2でもね、実はステラは悪女じゃなかったって話なのよ。
そのときに、人の噂話は、いかにいい加減で、いやらしく、悪意に満ちているかっていうのが、リアルに分かるわけ。
さらに、ステラの本当の姿を知ったとき、その真実に涙よ。
私は、最後にメグがステラに向かって「この人が私の理想の女性だから」と言ったときに号泣。
無邪気な表情で言うメグが、すごく印象的。
さらに、その後、飛行機の座席に扇子を見つけたステラに号泣。
だって、タピィがいい人で~(T-T)
もう、ラストまで涙が止まらなかったよ。
a_good_woman3この映画の監督・マイク・パーカーの作品は初めて見たんだけど、演出が素晴らしい。
どんな表情にも狂いが無い。
ヘレン・ハントは最高傑作になるんじゃないかなぁという演技してたね。
もう、とにかく、ラスト近くのボートのシーン以降は、ほんとうに目が釘付け。
スカーレット・ヨハンソンは、現在21歳。
『ロスト・イン・トランスレーション』にしろ、これにしろ、本当に演技が上手。
どちらかと言えば悪女キャラなのに、ウブで貞淑な妻を自然に演じてる。
次は、まだ観てない『真珠の耳飾の少女』観るよ。
末恐ろしい子ね。
a_good_woman4完璧な演出と演技と舞台が整った、この素晴らしい映画を観て、凛として生きること、背筋を伸ばして堂々と生きることについて考えさせられたなぁ。
それに、人の噂話の恐ろしさも十分感じた。
もしも、ある人が自分なりの信念と美学を持って生き方を貫こうとしたとき、そのある人が、男だった場合は賞賛され尊敬されるけど、それが女だった場合、嫉妬され、陰口を叩かれ、足を引っ張られそうになる。
そんな姿は、70年以上経った今もあまり変わりが無いんだなぁ。
「人の言うことに流されていたら、自分を失ってしまうわよ」というステラがメグに言う何気ない一言がとても印象的。

演技も脚本も素晴らしいオススメの一本

理想の女 公式サイト

11月 8, 2005 映画-ラ行(アメリカ), 映画-合作・その他, 映画-英国 | | コメント (20) | トラックバック (36)

2005/10/30

スパニッシュ・アパートメント

最近、『真夜中のピアニスト』や『ルパン』など、新作が続々公開中のロマン・デュリスの2002年の作品。
日本では、昨年公開されたのよね~。
spanish_apartment最近、WOWOWで放送されていたので、録画して鑑賞~♪

<STORY>
グザヴィエ(ロマン・デュリス)は、将来のために経済を学びにスペインへ留学を決める。
恋人のマルティーヌ(オドレイ・トトゥ)は、空港で涙が止まらない。
そのときは、泣かなかったグザヴィエだったが、飛行機に乗った途端、涙が止まらない。
バルセロナに降り立ったグザヴィエだったが、予定していた宿泊先に泊まれない。
困った彼は、バルセロナの空港で知り合ったジャン・ミッシェルと、アンヌ・ソフィ(ジュディット・ゴドレーシュ)夫妻の家に泊めてもらうことに。
学校も始まったが、宿泊先が見つからない。
そんなとき、あるアパートメントの面接を受けるが、そこを大いに気に入ってしまう。
そこは、イギリス、ドイツ、イタリア・・など、いろんな国の若者が、一つのアパートをシェアして使っていた。
そして、数日後、念願かなってそのアパートに暮らすことになったのだが、マルティーヌと遠距離恋愛しながら、アンヌ・ソフィのことも気になり始めていた・・・。

これがねぇ、面白いんだよねぇ。
いろんな国の人たちが、一つのアパートで暮らすの。
これが、良く集めたねぇってくらい、個性的な面々で・・・(^^;)
だって、あのロマンが普通に見えちゃうんだから、皆さん、個性的よね。
あぁ、もちろん、今回のロマンは「普通の男」って役作りをしているからなんだけどね。
英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語・・等などあって、共通語は英語。

これがねぇ、この小さなアパートに小さなヨーロッパが見えるのよね。
ひたすら恋愛に一生懸命なフランス人のグザヴィエだったり、几帳面なドイツ人だったり、お調子者のドイツ人だったり・・。
これがEUなのかも・・と思いながら見てたよ。
でも、すごいねぇ、うらやましかったよ。
もしも、今の東京に、これのアジア版があったらいいなぁ。
住人は、韓国、台湾、中国、香港、タイ、フィリピン・・。
共通語は英語で。
あぁ、でも国対国がそこまで成熟していないから、無理かもねぇ。
毎日、ケンカになっちゃうかも。
すごい、みんなバカなこと言ったり、やったりして楽しんでいるのを見て、いいなぁと思った。
住んでみたいよ。

それに加えて、バルセロナに行きたくなった。
なんてたって、私の憧れのガウディ。
サグラダファミリアにグエル公園なんて出てくると、行きたい~!!とすごく思ったなぁ。

グザヴィエは、スペイン留学中、恋もして、ケンカもして、言葉も覚えて、いろいろ経験するのね。
その結果、机上では得られないものを見つけて帰ってくるの。
その彼が、ラストにした選択に共感。
そうだよね。やっぱ、そうなるよねぇ。と、思いながら清々しい気分になったよ。

監督は、『猫が行方不明』、『家族の気分』、『パリの確立』が有名な、セドリック・クラピッシュ。
ヨーロッパに生きる若者達の群像劇が楽しめるので、オススメです。
あ、そうそう、『アメリ』に出る前、ブレイク前のオドレイ・トトゥも見れるよ。

スパニッシュ・アパートメント 公式サイト

10月 30, 2005 映画-仏, 映画-合作・その他 | | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/10/27

そして、ひと粒のひかり

本年度アカデミー賞 主演女優賞ノミネート
ベルリン国際映画祭 主演女優賞 新人監督賞

サンダンス国際映画祭 観客賞・・・・etc 多数受賞
maria_full_of_grace
という割りに、地味~に上映されているのが残念なこの一作。
私は、カタリーナ・サンディノ・モレノがオスカーにノミネートされたときに観たいと思って待っていた一作。
コロンビア=アメリカ合作映画とはいうけれど、全編スペイン語なので、ほぼ、コロンビア映画。
コロンビアねぇ~、はじめてかも。


<STORY>
コロンビアの田舎町で暮らすマリア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)は、17歳。
バラ農園で働きながら、家族を支えている。
ボーイフレンドのホアンとの関係にも、やや嫌気がさしてきた。
その上、工場長とけんかをし、農園をクビになってしまう。
そんなときに、マリアは妊娠していることを知る。
家族には、妊娠したと言えず、仕事を辞めたことを責められてしまう。
お金を稼ぐために首都ボゴタへ向かう途中、以前パーティで知り合ったフランクリンとばったり会う。
フランクリンはお金を稼ぎたいというマリアに、“運び屋”の仕事を紹介するという。
一瞬考え込んだマリアだったが、フランクリンにボスを紹介してもらう。
そして、その場にいたルーシーに手順を教えてもらう。
その当日、マリアはゴムの袋に入れたコカインを62粒飲み込み、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
そこにいたのは、ルーシーと、マリアの地元の親友・ブランカだった。
無事飛行機がNYに到着したとき、マリアは警察に声を掛けられてしまうのだが・・・。
maria_full_of_grace_1
これって、すごい衝撃的で、言葉なんか全然分からないんだけどね、グイグイ引き込まれて観ちゃった。
お話は、コロンビアという麻薬大国で運び屋をやる4人の女性達の物語なの。
その道としては、堅気の仕事をするか、そうじゃない仕事をするか。
では、もしも堅気の仕事を失ってしまった場合はどうするか・・。
まずね、このコロンビアという国は、日本とは全く次元が違う国だということを認識しなきゃいけない。
普通ね、仕事探してる女の子に、町で「じゃ、運び屋しない?」って声掛けないでしょ。
声かけられた方も、ドラッグやってジャンキーにでもなって、「死んでもいいから金をくれ!!」って状況じゃないと引き受けないじゃない。
ところがさぁ、「だって5000ドルくれるって言ったから」(ブランカ)ってセリフがあるんだけど、5000ドルだよ~。
5000万ドルじゃないんだよ。
もうね、その子たちのそのある意味無知というか、無邪気な気持ちが痛いんだよね。
maria_full_of_grace_2
では、そんな国から脱出するためにはどうしたらいいんだろう。
きっと、マリアもそれをずっと考えていたはず。
屋根の上から世界をながめ、ちっぽけな田舎町に嫌気がさし、一生この男と一緒にいるのかと思うとうんざりする。
あの時、彼女はどんな気持ちで運び屋を引き受けたんだろう・・・。
私には、「外に出たい」という強い気持ちがそうさせたのではないのかと思えた。

無事、アメリカに到着したマリアだったけど、彼女にとってそこは天国のように見えたんじゃないか。
それが、私にはとても皮肉に思えた。
アメリカが麻薬さえ買わなければ、マリアはコカインを運ばなくても良かった。
でも、アメリカが麻薬を買わなければ、マリアはコロンビアから出ることができなかったんだ。
そこから、コロンビアの現状が見えてくる。
つまり、コロンビアという国は麻薬が無ければ、外に出るチャンスが無い国になってしまう。
「そんなに貧しい国で、17歳の女の子が一人でどうやって子供を育てればいいのか」
そこが、監督の本当に言いたかったことなんだろう。
コロンビアを出て、自由な人生を生きるきっかけになったのが、麻薬の運び屋だなんてあまりにもつらすぎる。

主人公のマリアを演じるカタリーナ・サンディノ・モレノがとても美しい。
特に、ラストの空港のシーンでは、ホントにマリアのように後光が射しているかのように輝いている。
でも、あの結末を選んでくれてよかった。
同じことを繰り返してはいけない。
※結末は、映画をご覧になって確認してください。

日本では、女性の自立が問題になるけれど、自立どころか生きていくことさえ命がけの人たちがここにいる。
コロンビアという国を知らない人も、知っている人も、この“運び屋”の現状を知って欲しい。
オススメの一本。

そして、ひと粒のひかり 公式サイト

10月 27, 2005 映画-サ行(アメリカ), 映画-合作・その他 | | コメント (10) | トラックバック (25)

2005/09/30

マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾

竹橋のお堀のそばにある科学技術館で行われた試写会に行ってきた。
前にも来たことあるんだけど~、何の試写会だったか思い出せないな・・(ーー;)
今回は、スペイン映画。
海を飛ぶ夢』以来かな。
あぁ~、あれはいい映画だった。
これは、同じスペイン映画でもガラッと雰囲気が変わって、B級の香り漂う映画でございます。
800_balas

<STORY>
カルロス少年は、幼い頃に父を亡くし母と父方の祖母と3人で暮らしてきた。
ある時、カルロスは父の写真を見つける。
それはどうやら西部劇のポスターのようであり、祖母に聞くと父の隣に居るのは祖父であり、祖父はまだ生きているという。
それを聞いて祖父に会いたくなったカルロスは、学校のスキー旅行を途中で抜け出し、祖父の元へ向かう。
その祖父・フリアンは、ウエスタン村「テキサス・ハリウッド」で西部劇の仕事をしていた。
昔、クリント・イーストウッドや、ジョージ・C・スコットのスタントをしたのが自慢。
だが、あとを継ぐはずだった息子(カルロスの父)を、撮影中の事故でなくしてしまったことを今でも悔やんでいた。
全盛期、大勢観光客を呼んでいたテキサス・ハリウッドも、最近では客が減ってしまったことを嘆きながら、仲間達とショーをする毎日だった。
そこへ現れたのが、カルロスだった。
そのとき、「テキサス・ハリウッド」には、買収の手が伸びていた。
アメリカ人向けリゾート開発だという・・。
それを知ったフリアンは、仲間達と一緒に800発の銃弾を持って立てこもるのだが・・・。
私、30代の人間ですので、もちろんマカロニ・ウエスタンなんてものは、両親の口から聞く以上のことは知るはずもなく。
マカロニ・ウエスタン=クリント・イーストウッドぐらいの知識しかなかったのだけど、どうやら間違ってなかったみたいね (^^;)
で、そのマカロニ・ウエスタンに全生活をかけて暮らしていたおじいちゃんが、絶縁していた孫との関係を取り戻すけど、命のように大事にしていたテキサス・ハリウッドが買収されると知って、命がけで取り戻す。というお話ね。
西部劇ね、ビデオやテレビでしか見ることないけど、オープニング、いきなりこれは『駅馬車』か?と思えるようなシーンや、『真昼の決闘』を思い起こさせるようなシーンもあり、彼らのセリフの中にも、ラクエル・ウェルチだの、イーストウッドだの、ジョージ・C・スコットだの出てくるので、当時の映画ファンにはきっとダイレクトに響くでしょう~。
その辺が、リアルタイムでない私は、「日光江戸村」みたいなもんかしら?と思いながら見てたんだけど、とんでもない。
実際には、多くの大作映画を生み出した地らしいね。
この映画の見所は、西部劇に命を懸けるじいちゃんの生き様。
このじいちゃん、面構えもなかなか良いですが、実際に多くのマカロニ・ウエスタンに出演していた俳優らしい。
ですが~、ギャグの笑いどころがいまいち分からず、ストーリーも割とありがちで~、西部劇にそれほど思い入れのない私としては、やや退屈なところも少々ありました。
とはいえ、最後の最後には、ちょっとジーーンと来てしまいました。
最後までB級テイストたっぷりだったのが良いかな。
好きなことに命を懸けるという行為に、どうにも感動してしまうの (^^;)へへ
そうですねぇ、三度の飯よりマカロニ・ウエスタンが好き。
または、おバカなB級映画が好き。という方にはオススメします。
そうじゃない人に薦めたら、怒られそうです。

マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾 公式サイト

9月 30, 2005 映画-合作・その他 | | コメント (0) | トラックバック (6)