2010/05/29

オーケストラ! オススメの感動映画です

久しぶりに見たフランス映画は、号泣モノでした

泣きました weep

号泣しました crying

30以上年前にマエストロと言われていたロシアの指揮者・アンドレ

30年前のロシアは、ユダヤ人を迫害し、冷戦のさなか

アンドレは、その体制に反発し、当然クビ
彼の楽団であるボリショイ交響楽団も多くの楽団員がクビに

オーケストラ

そして、現在のボリショイ交響楽団の元へ来たパリからの公演依頼を横取りしてしまったアンドレは、30年前の仲間を再びあつめて、パリで公演することに決めてしまったのです
shock

最近、ロシアは経済的に上向きだと言われているけれど、この30年、楽団をクビになった人たちは、生活に、生きることに必死だった

まず、何より、その彼らに対する視線の温かさが、この映画の素晴らしさの一つです

楽団員たちは、音楽を愛し才能もあるのに、国にその才能を表現する機会を失われた人たち

彼らは芸術家です

日常生活なんて出来るわけがない

オーケストラ

それでも、彼らは逞しく生きていた

結婚式にサクラを集める仕事をしたり、移動は救急車で、場合によってはサイレン鳴らしちゃったり、ポルノ映画のBGMを演奏して生活している人もいたり・・・

本当に宝の持ち腐れなんですが、それでも、なぜか、明るく前向きに生きている彼らの姿が素敵なんです

そして、最も感動するのは、ラストのコンサート

映画の中にもセリフに出てくるのですが、いまどき、音楽なんてパソコンがあればいくらでも聴けてしまう

でも、本当に心のこもった音楽とは、ここにある!

オーケストラ
と、大声を上げて叫んでいるような、まさに魂のこもった音楽を聴くことができます

楽団をクビになってから30年、なぜ、彼らはクビになったのか、そして、その時、もう一つあった事件とは・・・

「その楽団員たちの国につぶされてしまった30年」の思いが詰まったチャイコフスキーに泣かずにはいられませんでした

お恥ずかしい話で、クラシックも、チャイコフスキーも全く分からないのですが、
「音楽って素晴らしい」
ことをただひたすらに感じました

クラシック好きの方も、そうでない方にも、オススメしたい映画です


オーケストラ 公式サイト

5月 29, 2010 映画-仏 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/06/09

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

超話題作なんですね

公開前から、人に会うたびにこの映画について聞かれました。
「どんな映画?」「どうだった?」と。
正に「キムタクパワー」の注目度の高さに驚きつつ、公開日はもちろん知っていたものの、結局、どんな映画なのか知らないまま、初日に見てきました。

で、感想なのですが、かなり楽しんできました。

ストーリーというより、インパクト

どんな映画なのか、一言でと言われたら、
「夢。どちらかと言えば、悪夢のような夢を見た感じ」です。
特に、筋の太いストーリーがあるわけではなく、断片的で印象的なシーンが重なって、全体的に見たら、一本のストーリーができていた・・・そんな感じを受けました。

I_come_with_the_rain

同化することに希望が生まれる

この作品(=悪夢)の、全体に流れているのは
“同化”です。

この悪夢の鍵を握るのは、キムタク演じる“シタオ”です。シタオは、雨の降る日にこの世に光臨してきた救世主で、痛みを抱える人と“同化”することで、その人を癒すという“力”を持っています。

ジョシュ・ハートネットは、行方不明になったシタオの捜索依頼をシタオの父親受けた刑事です。
彼の特徴は、捜査対象と“同化”することで、標的を見つけるという彼独自の捜査方法を持っています。

フィリピンで死んだはずのシタオが香港に現れ、
「実は生きていた」という希望を抱きつつ、
ジョシュは香港で捜査を開始します。

欧米とアジアが同化する街で起きる同化の奇跡

その香港は、イギリス統治下だった過去があり、コンクリートジャングルと草木のジャングルが混在する、東洋と西洋が“同化”した街です。

ベトナム系フランス人である監督ののトラン・アン・ユンは、東洋と西洋が“同化”した人です。

この映画からは、、欧米諸国がアジアを破壊しようとしている姿と、その底知れない不思議なパワーを受け入れようとする両方の姿が見えてきます。

かつて、欧米諸国は東洋に対し、その恐るべき人間パワーに恐れをなし、破壊行為を繰り返し、アジアの姿を欧米諸国と全く同じように作り変える植民地政策を行ってきました。
しかし、その破壊行為の後に残るものとは、絶望感であり、見えてくるものは、世界の終焉です。

この象徴として登場するのが、ジョシュが以前、追いかけていたという
「死体を破壊してオブジェにする連続殺人犯」です。
このダリの絵に登場してきそうな、気分の悪くなるオブジェを作り上げた殺人犯は、人間を元々あった姿とは、全く作り変えてすまうことで、それで、人間の全てを知り尽くした気になって、全ての人間を征服した気になり、最後にはキリストを出してきて、
「人間が負う苦しみは、世界の終わりまで続く」と言い切ります。
つまり、人間を隅々まで知り尽くしたけれども、この世には希望がないと言います。

欧米諸国は、植民地政策を行うことで、アジアを知りつくし、征服したようでいて、何も理解できず、結局、今でも不思議な文化と考えを持つ人種だという考えは変わってなく、その考えを受けれようとすることも無いのです。

ジョシュは、その殺人犯の世界観に“同化”することで飲み込まれ、いつまでも悪夢が止まらないのです。
その苦しみからジョシュを救うように登場するのが“シタオ”です。
「人を破壊することで征服し、力を表現するのではなく、その傷を受け入れることで人に、世界に希望を与える」
それが、シタオの示す象徴です。

つまり、これからの時代は、より力のあるものが、大きな力を秘めたもの破壊して我が物にしようとする時代ではなく、相手の力を受け入れることで癒しと希望を見出そうとしています。

その考えは、ラスト近く、シタオとイ・ビョンホン演じるマ・ドンポが対峙し、
ドンポがシタオに、涙を流しつつ
「恐れてなんかいない」
と言うシーンに表現されています。

より力のあるもの(=ドンポ)が、「恐れていない」と口では言いつつ、なぜか、心が癒されているために、自然に涙がこぼれています。

アジア人の監督らしい、とてもスピリチュアルなシーンです。
個人的に言うと、このシーン、イ・ビョンホンの最高の演技が見られると思っていますが、このシーンのイ・ビョンホンの演技力がどれだけすごいかを語りだすと止まらないので、それは、またいつか、どこかで。

この世界観そのものが、かつて、先進国の共産主義と資本主義によって、国民を二つに引き裂かれたベトナムの血を引きながら、フランス人として生きてきた、トラン・アン・ユンそのものだと思うのです。

今まで、イギリスの統治下にあった香港のように、欧米がアジアを破壊して西洋化してきたことに警笛を鳴らしつつ、本来のアジアらしさを失い、見た目には全く変わらないアジア人同士が中傷し合い、傷つけ合う状況にある、中国、香港、韓国、日本に対する警鐘でもあり、欧米諸国と、アジアが、互いに本当の力を認めて受け入れることに希望が生まれるのではないかという監督の考えが見えてきます。

だからこそ、最後にシタオをジョシュが救うシーンに、この悪夢の最後に残された希望が見えています。

まぁ、結局のところ、
欧米も、アジア人も911以来、お互いの力を恐れていて、すぐに、武力的に、経済的に制圧することを考えるけれども、相手の力を尊重すべき時代に入ったのではないかというわけです。
それって、理想論ですけどね。
あくまでも、個人的な“夢”だと思えば、それもアリのような気がしてきます。

注目される俳優陣

久しぶりに見たジョシュですが、当然ながら、少し歳をとったような気がするのがなんか寂しいです。
なんか、ジョシュには、いつまでも青年でいて欲しい気がしてね。
でも今までのジョシュで言ったら、どれに近いかと言えば、
バージン・スーサイズ」のジョシュに近い気がしますね。
あの頃の繊細さを保っていると思います。
毎年、定期的にメジャー大作に1~2本出れば、それで暮らしていけるのに、こうしてインディペンデント系の映画にマメに出ているその姿勢が好きです。

イ・ビョンホンですが、すいません、かなり贔屓目かもしれないですが、一番おいしい演技をしていたと思います。ホホ。
恋人が行方不明になっときの寂しい表情とか、恋人が帰ってきたときの表情とか、やっぱり、さすがですね。
あの表情を世界に配信できただけでも、この映画にでた甲斐があったと私は思います。
ジョシュと同じシーンで出てきても、見劣りしないというか、遜色がないというのも、嬉しかったです。

キムタクですが、ごめんなさい。
私には、あまり印象に残っていないです。
でも、この映画のキーパーソンだったことは確かだし、この役をオファーされたというだけでも、すごいことだったんではないかと思います。

残念だったのは、久しぶりに見たサム・リーがちょっとブクブクして、精彩を欠いていたこと(^^;)と、
ラストの方は、無理やり話を終わらせるようにバタバタと終了していったことと、
ファム・ファタル(運命の女)であるリリが、監督にとっては運命の女でも、この映画では、ちょっとファム・ファタルというには、ちょっとイメージが遠かったことです。

話が分かりづらいという意見も出ていますが、私は、いくつも象徴的なシーンがでてきて、パズルのように組み合わせるのを楽しんだし、普通だったら、競演するはずの無い俳優たちが競演しているのもそれだけで、楽しかったです。

ただ、もう一回見るかといわれたら、何せ、希望があるとはいえ、“悪夢”には違いないんで、ちょっと考えちゃいますね。

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 公式サイト

6月 9, 2009 映画-仏 | | コメント (0) | トラックバック (6)

2008/09/07

TOKYO!

★3本の短編からなるオムニバス映画です。
 個人的にオムニバスってあまり好きではないのですが、ミシェル・ゴンドリー × レオス・カラックス × ポン・ジュノ + 蒼井優 と知り、
 「私の大好きな才能盛り沢山!絶対見なきゃ~ w(゚o゚)w」
と思い、ラッキーなことに地元のシネコンで上映していたので、見に行ってきました。

★この才能の集め方のセンス。最高。
 一部のマニア向けかと思いきや、予想以上に客席が埋まっていたので、まだまだ映画好きっているんだなと少しホッとしたのでした。

ミシェル・ゴンドリー「インテリア・デザイン」

Tokyo_1

 ミシェル・ゴンドリーの映画ってすっごくぶっ飛んでるイメージなんですよ。いつも。
全身毛だらけの女の人が出てきたり、真っ赤に髪を染めたぶっ飛び女が出てきたり…、その割りにおとなしいなぁと思ったのは、東京自体がぶっ飛んでる??
 
 彼が見たTOKYOのイメージは、狭くて、ジメジメして、景色の悪い部屋に高い金を出して住んでいる若者たち。
 終いには、彼らがインテリアの一部になってしまう。
 その部屋のジメジメ感といい、狭さといい、妙にリアルで良い感じです。
 いつも日本のテレビドラマで
 「あり得ねーだろ」
 って感じの、広くて素敵な部屋に住んでいるOLさんの描き方が、気持ち悪かったのですよ。
 それりゃ~、欧米の人達から見たら、ぶっ飛んだ生活かもね。
 しかも、インテリアの一部になっていくあたり、唐突で奇妙で違和感たっぷりなのですが、そのぶっ飛び感がゴンドリー流で楽しかったです。


レオス・カラックス 「メルド」

 Tokyo_2

 観る前に一番期待していたのは、このカラックスでした。
 「ポンヌフの恋人」以来ですよ。16年経ってるんだってさぁ~∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
 久しぶりのカラックスに過剰な期待をし、見終わった後、もっとも退屈だったのはコレでした。

 カラックスの考えてることを、正確に理解しようとするのは、まぁ、ほぼ無理だと思っているので、あまり考えずに見ましたが、彼の見たTOKYOは、敗戦という過去や荒地だった東京を下敷きに今があって、さらに、“菊”に象徴される伝統を食いつぶしていると、そんな東京は一旦ぶち壊してしまったらどうかと。
 そんな提案のように見えました。

 その象徴として登場するのが、“メルド(=糞)”という名の下水道に住む緑の怪物です。フランスの核実験が生んだのがゴジラなら、伝統や愛国心を捨てた日本が生んだのがメルドです。

 そう考えると、かなり辛らつなんですが、「東京」と言いながら、東京で探すのが難しいフランス人(彼の常連ドニ・ラヴァン)を主役にし、そうなるとジュリエット・ビノシュのいないカラックスは、やはり、迫力や説得力に欠け、常に暗い雰囲気の画面は退屈に感じてしまうのです。

ポン・ジュノ 「シェイキング・トウキョウ」
 このオムニバスの中で、一番面白かったのは、このポン・ジュノでした。
 まぁ、お気に入りの蒼井優ちゃんが出てるので、多少贔屓目ではありますが・・・。
 超高層ビルが乱立する姿だけじゃない東京をちゃんと描いてくれていましたし、オタク文化の日本の根底にある家に引きこもりがちな人々の姿も正確に描写してくれたように思います。

 彼の見た東京は、几帳面で、読書家で、引きこもりがちで、ロボットのように正確な動きをする日本人であり、よく地震の起きる町です。

 香川照之が引きこもりの主人公を演じ、蒼井優が、彼の心をはじめて乱す女の子を演じています。

 私って日本人なんだなぁと思うのは、この香川照之の家はそこら中本だらけなんですよ。でね、「驚くかもしれないが、僕はここにある本をほとんど全部読んだ」
って感じのセリフがありまして、
「驚かないだろう~、10年も引きこもりしてたら、それぐらい読めるだろ~」
と思ってしまったのですが、日本人ですよね~、海外の人は、そんなに本読まないんですよね。

 ちょっと神経症気味で、内気な男性を香川照之が好演しているのはもちろんですが、冒頭とラストに登場する蒼井優は、相変わらず良い演技を見せてくれます。
 頭とラストでは、表情も立ち振る舞いも全く違います。
 期待を裏切りません。

 さらに、ちょうど中間あたりである大物が登場しますが、これが超いい味を出しています。彼の登場は知らずに見て欲しいので、名前は伏せておきますが、会場は爆笑に包まれていました。
 かなり楽しかったです。

 
★最後に、共通して気になったのは、彼らの描く日本人はどれも、無気力なんですよ。
 昔の日本人といったら、働き蜂で、一年中働いていたイメージだったと思うのですが、今回では、将来に不安を感じ、仕事もやりがいより、生活ための義務で、嫌になったら辞めればいいし、周りの人と上手くコミュニケーションをとれない姿が描かれていました。
 ある意味リアルなのですが、外国人が描くほどにその姿が伝わってしまうのかと思うと、もっと元気な姿を見せていかないといけないなぁと感じたのでした。 

9月 7, 2008 映画-仏, 映画-合作・その他, 映画-日本, 映画-韓国 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/03/02

クィーン

★土曜日にWOWOWで放送された映画『クィーン』を見ました。

080302

★ダイアナ妃が事故死してから、葬儀が行われるまでの数日間のエリザベス女王の姿が描かれています。

★ダイアナ妃を“悲しみのプリンセス”として追悼文を即発表し、国民からの株を上げたブレア首相と、葬儀直前まで沈黙を守り続けたために「冷たい女」と国民から思われてしまったクィーンの対比が考えさせられる映画です。

★一般人的考え方からすると、
 例えば、ある家庭の息子夫婦が離婚したとする。
 離婚後、嫁は海外に行ったり、友人たちと遊んでいて、充実しているように見えます。
 しばらくして、その嫁が事故死しました。
 でも、(離婚したにも関わらず)彼女はその家族に対してよくやってくれたからと、我が家族で葬式を出しましょう。
 なんてことがありますか?

★まぁ、もちろん、この家(王室)は、一般人とかけ離れた次元で生活している人たちですので、この例はあてはまらないかもしれないけれど、
「王室は働きもせず、税金を浪費している」
と批判するならば、王室を一旦出て行ったものに対して葬儀を行うということが、浪費になるのではないかと、思う一面もあるんですよね。

★でもね、そんな考え方では、時代の流れにはのれないのですよ。
 国民を味方にしてしまった方が勝ちなんです。
 誰も「浪費している」なんて文句言わないんですよ。

★そのことに対する、考え方の対立なんですよね。
 うまく時代に乗って、人気を集めたブレアと、伝統を守り抜こうとするクィーンと、その母の古臭い体質を変えて、あくまでも見た目優先で王室のイメージアップを図ろうとするチャールズ皇太子。

★10年経った今となっては、クィーンは今でもクィーンであり、人気ががた落ちで失脚してしまったブレア。
 今見ると、ブレアの姿もなんだか皮肉に見えます。

★この映画自体はタイトルも、『クィーン』というだけあって、エリザベス女王に対し、同情的な視線で作られています。

★それも手伝って、女王に同情しながら見ていました。
 それに、この映画を見るまでは、エリザベス女王に対し、“冷たそう”という先入観もあったし、彼女に対しすごく誤解していたことにも、今回新たに気付きました。
 それって、作られたキャラだったのですね。

★この映画に出てくるクィーンはとても魅力的なんです。
 品があって、頭がキレて、回転も速く、イギリス人らしくちょっと皮肉屋。
 誰よりも、孫たちの将来を考えていたし、何よりも(自分よりも)王室を優先させる女性。
 働く女性の鑑のような人です。

★最近の王室をめぐる出来事は、彼女にとって受け入れ難いもの。
 それでも、時代に合わせていかなければならないと、聞き入れたくもないアドバイスを受け入れていくんです。
 これねぇ、簡単なようで、なかなかできないことだと思うんですよね。
 でも、彼女には「イギリス人の4人に1人が王制反対」という現実の手前、嫌な選択や、方針も、伝統を打ち破ることも、受け入れていくしか道が無いんです。
 ここがねぇ、すごくグッときました。
 彼女が今まで教育されて守ってきたものが、ほんの一瞬で崩れていってしまう・・・。
 でも、彼女がそこでも毅然としてひるまず、国民や首相や家族に対してさえも弱みを見せることは無い。
 その姿にグッときたんです。

★王室のためなら、いつでも自分は2番目、感情は表に出してはいけない。
 そこが、「冷たい人」だと思われてしまうゆえんなのでしょう。
 中には、イギリスという国そのものを皮肉っている部分もある映画ではありますが、このような“クィーンの本質”を描こうとする映画が存在すること自体、彼女にとって多少の救いになっているんじゃないかと思うのです。

★じっくりと、良質な映画を見たい人にオススメの作品です。

3月 2, 2008 映画-仏, 映画-合作・その他, 映画-英国 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2008/02/16

潜水服は蝶の夢を見る

★『潜水服は蝶の夢を見る』は私にとって、久々のフランス映画でした。
 オープニングクレジットを見るまで、フランス映画とは知りませんでしたcoldsweats01
 正確に言えば、フランス、アメリカ合作映画ですが・・・。
 どっか、スペインあたりの映画かと思っており、「良い映画だ」という評判だけを頼りに見ました。
 いや~、見てよかったですshine
 評判どおり、本当に良い映画でしたgood

Butterfly

★フランスで実在した重度の脳梗塞患者が描かれています。
 パリで雑誌『ELLE』の編集長まで務めていた彼が、ある時、発作を起こし、絶望の淵に落ちてしまうのです。
 全身が麻痺してしまい、自由に操られるのは左目と、左目のまばたきだけ。
 最初は、しゃべっていることが周りの人に聞こえないということすら受け入れることができないような状態でした。

★彼がまず最初に取り組んだのは、“まばたき”で言葉を表現すること。
 その“まばたきだけ”で、医者、療法士、家族などとコミュニケーションをとることで、少しずつ現実を受け入れていきました。
 そして、この映画の原作となった著書を書き上げてしまったのです。
 そのことがまず素晴らしいことで、世界中にいる似たような境遇の人たちの希望になると思うんです。

★お恥ずかしい話、全身麻痺になってしまった場合の精神状態って、あまり考えたこと無かったんです。
 極端な話、体が麻痺してしまったら、もしかして、精神的にも不自由になってしまうんじゃないかって思っていた部分もあったかもしれない。

★でも、この映画を見てすごく教えられました。
 不自由どころか、すごく想像力豊かで、ウィットやユーモアだってある。
 精神状態は健常者と全く変わらないし、表現するのにすこし不自由なだけなんです。
 自分の認識力の低さがすごく恥ずかしくなりました。
 また、周りで彼を支えたり、治療にあたったりしている人たちの人間性も素晴らしいんですよね。
 ドミニクに正面から向き合っている彼らも本当にステキな人たちなんです。
 彼らの支えがあってこそ、著作が完成したんだと思います。

★この『潜水服は蝶の夢を見る』という題名は、彼の想いです。
 管につながれ、視界は狭まり(見えるのは左目だけ)、四肢は思うように動かせない。
 それはまるで重たい潜水服を着て、静かで深遠な海の中にいるかのような感覚。
 いつか、さなぎが蝶になるように、重たい潜水服を脱ぎ捨て、自由に世界中を飛び回ることができる日を夢見ているんです。
 その表現力が素晴らしいじゃないですか。
 同じように麻痺している多くの患者の心を代弁するような言葉だと思うのです。

★最初から最後まで、ほとんどが、彼の心のつぶやきと、彼の目線、視界を表すカメラで描かれています。
 彼の言葉の素晴らしさは、前述したとおりですが、この映画のカメラも本当に素晴らしいんです。
 周りの景色が、彼の心の通りに映し出されるのです。
 美しい女性たち、海、森林の緑、涙ぐんで曇ってしまった景色・・・。
 美しい景色に、彼の心情が加わった暖かい映像だと感動してしまいました。

★もしかしたら、今頃ドミニクは蝶になって世界中飛び回っているかもしれない。
 そうだったらいいなと思える、素敵な映画でした。

2月 16, 2008 映画-サ行(アメリカ), 映画-仏 | | コメント (2) | トラックバック (4)

2007/11/15

あるいは裏切りという名の犬

フランス映画です。DVDで観ました。
おもしろかったです。
二人の男の嘘、裏切り、権力闘争が入り混じり最後にはどんでん返しも待っている、人間臭くて、かっこいい刑事映画でした。

36_1

二人の腕利き刑事がいます。
一人はヴリンクス(ダニエル・オートゥイユ)いい、人望があって、将来も安泰、妻と子のいる幸せな家庭もある。
もう一人はクラン(ジェラール・ドパルデュー)といい、友人も無く、妻にさえ愛想をつかされるが、権力を持つためなら何でもする男。
彼らが所属する36分署で、所轄を揚げて追いかけていた犯人に対し、権力闘争は抜きにして二人で協力して捜査をしていました。
捜査の指揮を握っていたのはヴリンクス。
しかし、その捜査中、指揮を無視してクランが暴走。
36分署中から責任を問われるクランであったが、ある時、ヴリンクスがちょっとしたヘマをしてしまい、クランに弱みを握られてしまう。
さて、優位に立つのはクランか、ヴリンクスか・・・。

なんとなく、ストーリー的には、
『インファナル・アフェア』
に似た雰囲気もありますが、もう少し人間臭く、大人っぽい話です。

きっと、この映画を見ながら考えてしまうでしょう。
「正義って??」
「罪って??」

さらに、フランス映画のお約束、「不幸な結末」が頭をよぎるんですよ。
すごくいい人がラストで無残な死に方をしたりするじゃないですか?
でも、この映画については心配御無用です。
本当にフランス映画か?って思うようなテンポの良さと潔さがあります。

主役の二人は、フランスが世界に誇る名俳優。
ダニエル・オートゥイユと、ジェラール・ドパルデューです。
いや~、ダニエル・オートゥイユがすごくかっこいいんですよ。
『橋の上の娘』以来、久々にかっこいいダニエルを見ました。
妻思いで、娘思い、仲間に対する情が厚く、正義感も強い。
全身役に入り込んでしまうところに、俳優としてのうまさも感じて、ポイントアップです。
私が好きなシーンは、最後、ジェラール・ドパルデューに別れを告げて去っていく姿です。

もう一人の主役は、ジェラール・ドパルデューです。
このジェラール、ここ数年はあまり良い映画に出会っていなかったように思われます。
彼の出世作になってしまいますが、
『シラノ・ド・ベルジュラック』以来の名演技だったかもしれません。
すごくね~、嫌な役をやっているんですよ。
もしかして、俳優生命にかなりのリスクを負ってしまうかもしれないような嫌な役です。

その嫌な役を、すご~くリアルに演じているんですよ。
「汚いことをしてでも出世してやる」と、出世に燃える男です。

この二人が、ぶつかり合って、火花を散らします。
ヴリンクスとクランだけじゃなく、周りの男たちもすごくかっこいい。
“熱い友情”を感じることができます。

フランス映画が苦手な人にこそ、フランス映画嫌いアレルギーを治すためにも、見て欲しい映画です。

あるいは裏切りという名の犬 公式サイト

11月 15, 2007 映画-仏 | | コメント (2) | トラックバック (3)

2006/01/20

ある子供

昨年、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したベルギーとフランスの合作映画。
ダルデンヌ兄弟の作品を観るのは、『ロゼッタ』、『息子のまなざし』に続いて3作目。
どんな境遇にある人も受け入れようとする心の許容範囲の広さと視線の温かさを感じる映画だった。

arukodomo
<STORY>
10代のカップルであるソニア(デボラ・フランソワ)とブリュノ(ジェレミー・レニエ)の間に赤ちゃんが生まれた。
国から助けられながらも、子供を懸命に育てようとするソニア。
そんな彼女に対し、ブリュノは子供が生まれる前と変わらず、盗みを働いたり、物乞いをしたりしながらその日暮らしの生活をしている。
あるとき、ブリュノは子供を高く買っている人がいることを知る。
そして、物を売るのと同じように子供を売ってしまう。
ところが、その話を聞いたソニアはその場で意識を失い、入院してしまう。
それ以来、ソニアに拒絶されてしまうブリュノは子供を取り戻そうとするのだが・・・。

これはですねぇ、もう本当にブリュノにイラつくのね。
子供を売ってしまうことに罪悪感を感じないことにはもちろん、仕事もしないし、道行く人に小銭をねだったり、幼い子供を窃盗に巻き込んだり・・。
ついね、「働けよ!!」って説教したくなるぐらいにイラつく。
でもね、女子は子供を産むことで母性が目覚めるけれど、まだまだ精神的に子供の男子にとって「子供ができたからといって父性に目覚めるってわけじゃないんだな」ってことを考え始めるのよね。

arukodomo1私だってね、20歳のころは、バイトすることと遊ぶことしか考えてなかったよ。
ある日突然子供ができて、「あなたは今日からお母さんです」と言われちゃったら、今だったら何とかなるかもしれないけれど、当時はパニックだったと思うし、「どうやって今の生活を維持しよう・・・」と思ったに違いないよね。
ブリュノは男子だから余計父親になった実感なんてないと思うし、他人から見たらゴミみたいな生活しているかもしれないけれど、彼の中ではそんなゴミみたいな生活がすべてなんだよね。
でも、終盤、そんなブリュノも罪悪感を感じるときがやってくる。
するとね、あんなにイラついてたのに、突然ブリュノがかわいそうだと思っちゃうんだよね。
あんなにダラシナイ!!と思っていたのに。

最後にはブリュノには同情してしまう。
そこがね、ダルデンヌ兄弟の優しさだと思うの。
本人が何もかもを失って、罪悪感を感じるまで待ち続けるの。
恐らく、私も含めて多くの大人は、ブリュノみたいな子供を見放しちゃうと思うんだよね。
ダルデンヌ兄弟はそうじゃなく、いつかはその罪悪感に目覚めるときが来ると信じてるんだよね。
私だったら見捨ててしまうところを、この映画は見守り続けてる。
そのとき、「あぁやさしい人なんだなぁ」と実感。
ラストにソニアと向き合うブリュノにジーーーーンとしてしまった。

ニートが急増して、少子化が加速する日本でも、このブリュノとソニアのようなカップルがいてもおかしくない。
映画の中で、ソニアに子育てを教える社会福祉の係員が訪れたシーンが印象的だった。
子育てに不安を抱える若い母親を支援する社会福祉が充実しているんだなぁと思って。
日本でも、育児を支える社会福祉が充実すれば出産率が上がるかもしれないよね。

主人公である若い二人、特に精神的に大人になれないブリュノを受け入れられない人もいると思う。
でも、これからの社会は、こういう人たちが確実に増えていくんだと思いながら、ありのままの彼らを見て、彼らの気持ちを感じてみることも必要なんだろうと思うな。

お時間があったら、若い二人の生き方を考えてほしい一本。

ある子供 公式サイト

1月 20, 2006 映画-仏, 映画-合作・その他 | | コメント (7) | トラックバック (40)

2005/12/02

マサイ MASAI

科学技術館で行われた試写会に行ってきた。
なんと出演は、本物の“マサイの戦士”。
“勇気”についての映画なのよ~。
内容は・・ある意味、“大変興味深い映画” でありました。masai1

<STORY>
マサイの村では、古来から伝説の獅子・ヴィチュアを生け捕りにすると雨が降るという言い伝えがある。
そのため、干ばつに襲われた村では、獅子のタテガミを持ち帰るように戦士をヴィチュアの元に送ることに。
村から選ばれた戦士達は、村を救うために幻の獅子を目指して旅立つ・・。

まず、驚くのが、マサイの人たちに “演技をさせた” ことなのよ。
映画もテレビもない人たちだからね。
カメラの前で、カット割りなどしつつよ、演技をさせるのよ。
これは大変な作業だったと思うよ。
言葉も現地の言葉で、本当に感情が伝わるように演技をしているのだから、それだけでも十分評価できる作品だと思うんだよね。
この監督、長編は初めてらしいけど2000時間も撮影したんだって。
そりゃそうだよね~。

masai2
お話は、おとぎ話のような伝説のようなお話なんだけど、“勇気とは何か”についての物語。
話はすごく分かりやすいのだけど、どれが誰?ってのを理解するのにかなり時間がかかる(ーー;)
だって、みなさんパンツのみの格好だからね、見分けがつかないからさぁ、アクセサリーで区別したりして、登場人物がようやく把握できた頃、もうすでにクライマックスだった・・。

マサイの戦士のみなさんが身に着けているアクセサリーがすごくステキだったなぁ。
とてもじゃないけど、日本じゃできなけどね (^^;)
体も適度に筋肉がついた健康的な青年で、人が良さそうなみなさんだったよ。

masai3
まぁ、真面目な話をすると、この人たちは二酸化炭素を1mmも排出していないじゃない?
それがさぁ、干ばつに見舞われたりするわけよね、この人たちはきっと、“神がお怒りだから”と思うかもしれないけど、それは、アメリカ大陸やら、アジアやら、ヨーロッパから出ている二酸化炭素の影響が大いにあるわけで、この人たちにとっては、それが命の問題につながっているんだからね。
その辺、なんだかすごく気の毒だったなぁ。

めったに見ることができないマサイ族の生活を見たい!!とか、地球について考えたい!!って人にはオススメの一本。

マサイ 公式サイト

12月 2, 2005 映画-仏 | | コメント (6) | トラックバック (14)

2005/11/28

スイミング・プール

2003年のフランス、イギリス合作映画。
公開されたのは、去年のGW。
見逃してたんだよね~。
WOWOWでやってたからね~、録画して鑑賞。
が、見終わってから 「ゲッ( ̄◇ ̄;)や、やられた・・」と思わずつぶやいちゃう映画だった。swimming_pool1

<STORY>
女流作家のサラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は、ミステリー作品で有名。
新作を書けずにいたところ、出版社の社長・ジョンから南仏で過ごすことを提案される。
南仏にはジョンの家があり、サラには先に行っていてもらい、後からジョンが行くと言う話だった。
初めは渋っていたものの、歳をとった父との単調な暮らしからアイディアは生まれないと思い、南仏行きを決心する。
ロンドンの曇った空とは明らかに違う、南仏の青い空の下にジョンの家はあった。
庭にはプールがあって、穏やかで優しい時間が過ぎる。
一つだけ気がかりなのは、ジョンが来ないこと。
そこへ、若くて奔放な少女ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れる。
彼女は、ジョンの娘だと名乗り夏休みをそこで過ごすと言う。
毎晩男を変えるジュリーを観察するサラだったが、そこで事件が起きる・・。

まぁ、とにかく隅から隅まで美しい映画なのだけど、人のイマジネーションを試すような映画でもあるのよ。swimming_pool2
なもんで、最後の最後になって、「えぇ~、そうなるのぉ~??」と思わずうなってしまうのよねぇ~。
ま、人によっては??となってしまう人もいるだろうし、怒り爆発の人もいるでしょう。
「そう、それならば、ちょっとイマジネーションを試してみようか・・」と思った人は、映画を見てから、コレを読んでね♪

swimming_pool3
この映画を読み解く鍵は“女流作家・サラ”にある。
実は、サラが南仏のジョンの家に訪れたときから、サラの創作が始まっている。
アイディアが枯渇した女流作家にとって、太陽が輝く南仏の地は、アイディアの宝庫だった。
そこで、彼女は願う。
今までになったことも無いような女になりたい・・・。
そこへ登場させたのが、ジョンの娘・ジュリー。
昼は、半裸で過ごし、毎晩男を取り替え、好きなことをして、好き勝手なことを言う。
サラはジュリーと言う奔放な女の子を登場させ、自分を解放させる。
そう、ジュリーはサラとは正反対の女であり、サラの奥に眠る願望を反映している女でもある。
だってねぇ、ジュリーって娘は、あり得ないぐらい美しいのよ。

swimming_pool4
サラは、ジュリーを創作しただけでは終わらない。
ジュリーは、サラを嫉妬する。というより、サラに嫉妬させる。
そして、事件が起きてしまう。
そこからのサラがすごい。
だって、あのサラが庭師を誘拐しちゃうんだから。
愛想のかけらも無かった女が、誘惑だよ~(@@)
そこが、ジュリーの母が書いたと言うハーレクインロマンス風なのよね~。
また、その時のサラの美しさと言ったら神々しいぐらいよね。

でも、この映画がやっかいなのは、最初からそれが創作だってことが分からないこと。
最後の最後になって、それが分かる。
「こんな話はダメだ。抽象的過ぎる」
そんなことを言わせちゃうんだから、すごい映画だよな~。
そう、ジョンの娘は・・・ジュリーじゃなく、ジュリアだったんだから。
その後も、創造を続けるサラ。
そのときの表情がねぇ~、すごく印象的なんだよね~。


これはですねぇ、フランソワ・オゾンと、シャーロット・ランプリングのお互いに信頼しあう関係から生まれた映画だね。
この迷路のような映画を作るオゾンの演出もすごければ、シャーロット・ランプリングの的確な表情が良い。
だって、一番最初に地下鉄に乗っていたサラの顔と、最後に新作を書き終えたサラの顔は明らかに違う。
まぁ、すごい女優だと知っていたのでね~、そんなに驚かないけれど。
リュディヴィーヌ・サニエのフランス流脱ぎっぷりもすごいし、体もすごく美しいし、謎の女の雰囲気もたっぷり。
この娘は、無邪気な感じが良く似合うね。

アメリカで言ったら、スカーレット・ヨハンソンが近いかな。

でもね~、この映画を薦めるか?
と聞かれると、「お好きな人はドーゾ」としか言いようが無い。
なんだけど、サラのように無愛想な女が、男を誘惑するようになるまで変わりたいと思う人がいたら、見てみるといいかもね。
次の日から、妄想の世界に住むかもよ??

スイミング・プール 公式サイト

11月 28, 2005 映画-仏, 映画-英国 | | コメント (4) | トラックバック (4)

2005/10/30

スパニッシュ・アパートメント

最近、『真夜中のピアニスト』や『ルパン』など、新作が続々公開中のロマン・デュリスの2002年の作品。
日本では、昨年公開されたのよね~。
spanish_apartment最近、WOWOWで放送されていたので、録画して鑑賞~♪

<STORY>
グザヴィエ(ロマン・デュリス)は、将来のために経済を学びにスペインへ留学を決める。
恋人のマルティーヌ(オドレイ・トトゥ)は、空港で涙が止まらない。
そのときは、泣かなかったグザヴィエだったが、飛行機に乗った途端、涙が止まらない。
バルセロナに降り立ったグザヴィエだったが、予定していた宿泊先に泊まれない。
困った彼は、バルセロナの空港で知り合ったジャン・ミッシェルと、アンヌ・ソフィ(ジュディット・ゴドレーシュ)夫妻の家に泊めてもらうことに。
学校も始まったが、宿泊先が見つからない。
そんなとき、あるアパートメントの面接を受けるが、そこを大いに気に入ってしまう。
そこは、イギリス、ドイツ、イタリア・・など、いろんな国の若者が、一つのアパートをシェアして使っていた。
そして、数日後、念願かなってそのアパートに暮らすことになったのだが、マルティーヌと遠距離恋愛しながら、アンヌ・ソフィのことも気になり始めていた・・・。

これがねぇ、面白いんだよねぇ。
いろんな国の人たちが、一つのアパートで暮らすの。
これが、良く集めたねぇってくらい、個性的な面々で・・・(^^;)
だって、あのロマンが普通に見えちゃうんだから、皆さん、個性的よね。
あぁ、もちろん、今回のロマンは「普通の男」って役作りをしているからなんだけどね。
英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語・・等などあって、共通語は英語。

これがねぇ、この小さなアパートに小さなヨーロッパが見えるのよね。
ひたすら恋愛に一生懸命なフランス人のグザヴィエだったり、几帳面なドイツ人だったり、お調子者のドイツ人だったり・・。
これがEUなのかも・・と思いながら見てたよ。
でも、すごいねぇ、うらやましかったよ。
もしも、今の東京に、これのアジア版があったらいいなぁ。
住人は、韓国、台湾、中国、香港、タイ、フィリピン・・。
共通語は英語で。
あぁ、でも国対国がそこまで成熟していないから、無理かもねぇ。
毎日、ケンカになっちゃうかも。
すごい、みんなバカなこと言ったり、やったりして楽しんでいるのを見て、いいなぁと思った。
住んでみたいよ。

それに加えて、バルセロナに行きたくなった。
なんてたって、私の憧れのガウディ。
サグラダファミリアにグエル公園なんて出てくると、行きたい~!!とすごく思ったなぁ。

グザヴィエは、スペイン留学中、恋もして、ケンカもして、言葉も覚えて、いろいろ経験するのね。
その結果、机上では得られないものを見つけて帰ってくるの。
その彼が、ラストにした選択に共感。
そうだよね。やっぱ、そうなるよねぇ。と、思いながら清々しい気分になったよ。

監督は、『猫が行方不明』、『家族の気分』、『パリの確立』が有名な、セドリック・クラピッシュ。
ヨーロッパに生きる若者達の群像劇が楽しめるので、オススメです。
あ、そうそう、『アメリ』に出る前、ブレイク前のオドレイ・トトゥも見れるよ。

スパニッシュ・アパートメント 公式サイト

10月 30, 2005 映画-仏, 映画-合作・その他 | | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/10/26

真夜中のピアニスト

これ、チラシを手にした瞬間に観たくなってしまって、早速行ってきた。
先日の『ルパン』では、ちょっと評判の悪かった (ーー;) ロマンが、私は結構好きで♪
今回は、ロマンがステキに見える(かも?)一本です~♪mayonaka_pianist


<STORY>
28歳のトム(ロマン・デュリス)は、不動産ブローカーの仕事をしている。
目をつけた不動産にねずみを放して住人を追い出したり、かなり手荒なことをして売買を行っている。
それは、父もやっていた仕事であり、そのせいか、つい父と衝突してしまうことも多い。
そんな彼にとっての癒しは、音楽であり、常に音楽を手放さない。
ある日、亡くなった母の友人を町で見かけ声を掛ける。
母は生前ピアニストをしており、彼はその母のマネージャーをしていた人だった。
彼は、トムのことも、トムの演奏のことも覚えていて 「今度、オーディションをしてあげるから、連絡しなさい」と言い、事務所の名詞を渡す。
ブローカーの仕事に嫌気がさしていたトムは、これが足を洗うチャンスになると、夜中にピアノを弾いてみる。
しかし、楽譜を前にしてどう弾いていいか分からないトム・・。
彼は、プロのピアニストからの助言を求める。
その時、彼の前に現れたのは、フランス語が分からず、英語も少ししか分からない中国人の女性だった。
それでも、とにかく聞いてもらいたいトムは、毎日午後に彼女の家に通い始める。
しかし、ピアノを再び弾き始めたトムを良く思わない父は、トムをブローカーの道に引き戻すために無謀なことをしてしまう・・。
トムは、父とピアノの間で板ばさみになるのだが・・。

“闇”に生きる男・トムを描いたこの映画、私はかなり気に入ったよ。
mayonaka_pianist_1最初から最後まで目が離せなくって、すごく見ごたえがあったなぁ。
フランス映画が好きな人、しっかりとした人間ドラマを観たい人には、是非観て欲しい一本。

この映画の見所は、トムと父の関係にあるんだよね。
トムにとって、父は “イラつき” のもと。
それは、同じ仕事をしているからなのか、父に新しい恋人ができたと知ったからなのか。
彼は、そんな父と同じ仕事をしていることにも、イラつきを感じてる。
父との関係がギクシャクしたときに間に入ってくれる母は、この世にいない。
母の代わりとなったのは、彼女が好きだったピアノ。
トムがイラついているのは、父に対してだけではない。
汚いことして家を売買したり、親友の妻と不倫をする自分にもイラついている。
トムは、ピアノがそんな日常から救ってくれるかもしれないと願うように打ち込む。
ピアノが、トムの怒りを表現し、癒していくというのが、この映画の面白さ。
トムが父や仕事から、ピアノに癒しを求めていく姿に注目して観て欲しい。

↓ネタバレアリ
mayonaka_pianist_2でね、そこで出てくる中国人の女流ピアニストの存在がすごくいいの。
闇の世界で汚れまくったトムにとって、彼女がいるその世界は清涼剤のような雰囲気がある。
彼女は、汚い世界をピアノに持ってくるなといわんばかりの勢いで、トムにピアノを教える。
でも、彼女に言葉は通じない。
通じるのは、ピアノだけ。
その彼女がね、すごく純粋無垢な感じでいいんだよね~。
でも、結局、トムが本当にピアノを弾けるのは、一人でいるときと彼女と一緒にいる時だけ。
そこがねぇ~、またいいんだよねぇ。
闇に生きる人間は、ピアニストになんかなってはいけない。
そうよね。そうっすよね。
ピアノを血で汚しちゃいけないっすよね。
↑ネタバレ終了

ロマンがねぇ~、本当にいいのですよ。
なんか、ロマン=トムになってて、すごく自然なんだよね。
イラつくときは、全身でイラついて、激しく衝動的に行動する。
まさに、それがトム自信だと納得してしまう。
人生に悩んでる人、親子関係に悩んでいる人、なんだか分からないけどイラついてる人、トムにとって音楽が癒しになったように、何かしたいと思えるかも・・。
フランス映画が好きな人には、絶対にオススメ。

真夜中のピアニスト 公式サイト

10月 26, 2005 映画-仏 | | コメント (6) | トラックバック (12)

2005/10/25

灯台守の恋

Tokyo-FMで行われた試写会に行ってきた。
1960年代のフランスの田舎にある灯台を舞台に描かれたある夫婦の物語。
とても切なくてはかない恋の物語。lequipier


<STORY>
1963年、フランスの北部、ブルターニュ地方にある小さな島では、灯台守一家の葬式が行われていた。
当時の灯台は、住み込みで火の番をし、常に明かりが消えないように監視をする灯台守がいた。
亡くなったのは、その島にある小さな灯台を守ってきた灯台守。
そんな葬式の最中に、彼の代わりの灯台守が訪ねてくる。
彼の名はアントワーヌ(グレゴリ・デランジェール)。
戦争で左手を負傷していた。
閉鎖的な島の住人達は彼を受け入れようとしないが、亡くなった灯台守の娘・マベ(サンドリーヌ・ボネール)の夫であり、同じく灯台守をするイヴォン(フィリップ・トレトン)は彼を受け入れる。
島の住人が全て友人同士である小さな島に訪れた若い男と、島で生まれ育った女、そんな女を愛し続けた夫の物語。

いい映画だなぁ。
気に入った。
すごくロマンチックで、切なくて、はかない恋の物語。
ストーリーについては、先も読めるし、すごくオーソドックス。
でも、物語にちりばめられた小物や舞台が話をすごくステキにしてるの。
まず、この映画をロマンチックにしているのは、美しい灯台から放たれる灯り。
その灯りは、船が安全に航海するするためのものだけど、ここでは、それがまるでマベの心を表すかのように輝く。
そして、男達はマベの心を支配するように、灯台の明かりを支配しようとする。
フランス革命の祭日に見た花火と灯台の明かりは、マベの本心を表現しながら、それを知らないイヴォンを思うと涙が出てきた。

もう一つの小道具はアコーディオンと椅子。
アントワーヌは、アコーディオンを弾き、イヴォンは椅子を作ることを趣味としている。
アコーディオンを弾くアントワーヌは本当にステキで~♪、あれはホケーーーーッ(*^-^*)となったなぁ。
まぁ、それはいいとして(ーー;)、アコーディオンはアントワーヌとイヴォンの間を行ったり来たりする。
これは、二人の間をつなぐ大切なもの。
マベが梱包したアコーディオンの包装を開きかけたものの、その全てをほどこうとしないところにアントワーヌの苦悩が見える。
それに比べ、イヴォンがせっせと作り続けた椅子は忘れられつつある。
風雨にさらされ、犬にまで足蹴にされる。
この小道具に三人の気持ちが見える。

で、この三人の中で、もっとも注目すべきはイヴォン。
イヴォンがねぇ、バカみたいにいい人なのよ。
「海の男=デリカシーが無い」と思っていた私は大反省ね。
そのあらゆる物事を信じて疑わず、受け入れてきたイヴォンが壊れた瞬間、スクリーンから目が離せない。
自分は男であり、夫であることを、全世界の人に伝えたいかのような瞬間。
彼がいたから、結末はあぁなったのではないかと確信してる。
あ、この三人の恋の結末を知りたい人は映画をご覧になってね☆

さっきも言ったけど、ストーリーはとてもオーソドックスだし、目新しいところは一切無く、結末も曖昧なまま。
フランス映画にはよくあるタイプだけど、その展開が苦手な人にはオススメしません。
でも、人間の気持ちは白黒分けられるものじゃない・・。
俳優達の素晴らしい演技をじっくり楽しみたい・・。
と日頃から思っている方には、オススメします。
たまには、灯台の明かりに誘われて、人間のどうにもならない感情の波にのまれてみてはいかがでしょうか・・。

灯台守の恋 公式サイト

10月 25, 2005 映画-仏 | | コメント (12) | トラックバック (13)

2005/10/11

クレールの刺繍

ちょっと、立て続けに3本映画を観たんだけど、これが、どれもそれなりに良い映画で、なんだか気分は上々~♪
その中から、まず1本目はフランス映画から。
claire


<STORY>
スーパーで働くクレールは、妊娠していることがわかったばかり。
医者からは、中絶ではなく匿名出産 (出産費用を無料にし、母親の名前を明かさずに子供を産むこと) を薦められる。
子供の父親は結婚して家庭もある。
スーパーでは太ったことを問われ、自分は癌であり、薬の副作用で太ったとウソをついた。
日々、お腹のふくらみが目立ってきたクレールは、会社を休んである家のドアを叩く。
そこは、刺繍職人メリキアン夫人の家だった。
刺繍が得意なクレールは、メリキアン夫人に雇って欲しいと願いに行ったのだった。
つい最近、事故で息子を亡くしたばかりのメリキアン夫人は、経歴も資格もないクレールに最初冷たく当たる。
が、その技術力から2週間だけの約束で雇い始める。
しかし、メリキアン夫人は生きる希望をなくしていた・・・。

まず、私はこの映画とても気に入ったなぁ。
クレールは、父親のいない子供を妊娠してしまったことに、罪悪感を感じて生きてる。
メリキアン夫人は、跡を継ぐ職人として希望だった息子を亡くしてしまい、失意を感じて生きてる。
claire_1
二人にとって刺繍は、生きる希望となり、絆となった。
この刺繍がすごくいいんだよね。
ホントに美しくて、上品。
刺繍をするシーンだけでも見る価値アリ。
刺繍やってみたくなった。
クレールとメリキアン夫人が間に大きな刺繍の台を置いて、二人で話しながら刺繍をするシーンがあるんだけど、印象的だったなぁ。
女同士だから分かり合える互いの気持ちの傷を、刺繍で縫い合わせて華やかにしているような・・。
そんな雰囲気を感じるなぁ。

二人女性の絆となる刺繍を描くほかに、クレールの成長の物語でもあるの。
最初出てきたクレールは、正直、「かわいくないなぁ、この子」(苦笑)と思ったんだよね。
でも、物語が進行するにつれ、クレールがどんどん綺麗になるのね。
これは、クレールがメリキアン夫人に認められ、職人としての腕がドンドン上がっていくのと比例しているの。
つまり、貧しくて、絶望的な女性も手に職を持って仕事をしていれば、自信を持ってステキな生き方をすることができると伝わってきたなぁ。
どんなに金が無くても、刺繍だけは続けたクレールから、すごく刺激を受けたよ。
理想的な生き方してるよなぁ。

claire_2
このクレールを演じてるローラ・ネマルクが、すごくいい。
少しずつ、大人の女性として、職人として目覚めていく過程を自然に演じているんだからね。
これで当時16歳だったっていうんだから、恐るべし。

偶然最近観たアメリカ映画の『キルトに綴る愛』に、内容がやや似ているけれど、あれよりも遥かにこちらの方が、上品であり、説得力もある。
でも、フランス映画らしく、本音とは遠まわしな言い方をするセリフと表情だけで、特にメリハリも無く進んでいくこの映画は苦手な人もいるでしょう。
生きる希望をなくしつつある女性のみなさんにオススメします。

そうだ。余談ですが。
一つ気になったのが “匿名出産” 出産費用は無料にするから、中絶しないで産んでくれ。という制度らしい・・。
とても、キリスト教のお国の考えそうなことだけど、日本もこの “匿名出産” を認めたら、出生率が高くなるかもぉ・・。と考えながら見てた。

クレールの刺繍 公式サイト

10月 11, 2005 映画-仏 | | コメント (10) | トラックバック (18)

2005/09/28

メトロで恋して

基本的に、ストーリーとかあまり調べずに見るのが好きで、監督と俳優と予告編で見る映画を決めてるんだけど、この映画は、たまたま空き時間と上映時間がぴったり合ったからちょっと足を運んでみたの。
そしたらねぇ~、結構楽しめたんだよね~。metro_et_moi

<STORY>
俳優のアントワーヌ(ジュリアン・ボワスリエ)は、そろそろ結婚したいなぁと思う33歳。
ある時、地下鉄で向かい合わせの席に座ったクララ(ジュリー・ガイエ)に一目ぼれ。
その場で彼女から電話番号をもらったアントワーヌは、数日後にクララに電話をし、デートをし始める。
将来小説家になることを目指し、文学の勉強をしながら、生活のためにTGVのバーで働いているというクララと幸せな日々が続いていた。
永遠に続くと思われた幸せな日々だったが、彼女が不治の病であることが発覚。
アントワーヌはそんな彼女を受け入れることができず、二人は分かれてしまうのだが・・・。
どんなお話なのか良く知らずに見ていたので、途中までありがちな“病気モノがらみの純愛映画か?”と思い、でもな~、まさか、フランス映画でそれは無いでしょう~。と思っていたら、やはり、リアルな人間ドラマになってた。
ネタバレあり↓
“もしも、自分のパートナーがHIVポジティブだったら”を考えてみたとき、私は、“相手を支えていきます”と胸を張って答える自信は無い。
そんな複雑な気持ちを、飾ることなくリアルに表現しているところが気に入った。
彼女が彼に支えて欲しくて、話をしているときに、彼が全く関係ない話を持ち出して話を摩り替えようとしたカフェのシーンが、胸が痛くなるぐらいリアルで印象的だった。
もしも、ここで「大丈夫。僕が君の隣で支えるから」なんて言われたら、「そんなテレビドラマみたいなこと言って・・」としらけてしまうので、私的には絶対にNG。
また、このときに、何も言わずにアントワーヌの目の前から去っていくクララも良かった。
私だったら、相手をなじっているかも。
で、この後のアントワーヌの迷いもすごく良かった。
自然に時の流れで忘れようとするよね。
それができない彼を支えたのは、家族だった。
それも、長く断絶していた父だった。
ここが、またとても胸を打つシーンだったなぁ。
そうして、彼は人間として一歩成長して、ラストシーンの笑顔が生まれてるんだよね~。
ネガティブな出来事を吸収して、ポジティブに生きようとした彼らに共感が持てたな~。
↑ネタバレ終了

アントワーヌ役のジュリアン・ボワスリエも、クララ役のジュリー・ガイエも初めて見る役者さん(多分)だけど、二人ともステキな俳優さんだったなぁ。
恋愛についてじっくり考えたい時にオススメの一本。

メトロで恋して 公式サイト

9月 28, 2005 映画-仏 | | コメント (4) | トラックバック (9)

2005/09/20

ルパン

久しぶりのフランス映画ですわ~♪
と言っても、ルパンで連想ゲームをすれば、「ルパン三世」しかでてこない私・・・(^^;)心配だわ。
lupin

<STORY>
1882年、幼いアルセーヌ・ルパンは、父に言われたまま叔母が持つマリー・アントワネットの首飾りを盗み出すが、その父は首飾りを持って逃走。泥棒と言われ警察に追われるが、数日後、顔が岩で潰された死体となって発見される。アルセーヌは、母とその地を出る。
それから15年、大人になったアルセーヌ (ロマン・デュリス)は、母が病死。
母の葬式で再会した幼なじみのクラリス (エヴァ・グリーン) のおかげで、クラリスの父である公爵に武術を教える仕事に就き、しばらくその屋敷で生活することに。
ある夜、公爵が秘密の会合を持つことに気付き、公爵の後をつけるアルセーヌ。
秘密の洞窟で行われた会合では、“魔女”と呼ばれたカリオストロ伯爵夫人 (クリスティン・スコット・トーマス) が、死刑の宣告を受けていた。
生きたまま海に投げ込まれたカリオストロ伯爵夫人を助けるアルセーヌだったが、それを、死刑を執行した公爵たちの仲間の一人であるボーマニャン (パスカル・グレゴリー) が監視していた。
そして、アルセーヌは美しいカリオストロ夫人と恋に落ちてしまうのだが・・・。
う~ん。
そうだなぁ~。
外見的には、豪華で美しいんだけど、中身はなんだか薄味な感じね。
でも、つまらないという訳ではなく、退屈はしないと思う。
単に薄味なだけ (しつこい!(ーー;) )
では、何が薄味 (しつこいってば!!) かと言いますと、どうもこのルパンに人間味を感じないのです~。
カリオストロ夫人やクラリスと恋に落ちるにしても、ボーマニャンと対決するにしても、葛藤ってのがあるでしょう~。
しかし、このルパン、どうも先を急いでいる感じがして、感情がまったく見えてこない。
私の知っているロマン・デュリスは、自然な感情表現がすごく上手い俳優だと記憶していますので、その問題は監督の演出にあると思われます。
どんな思いがあって泥棒になったのか、それについて母は何を感じているのか、最期までアルセーヌに執着しようとするカリオストロ夫人をどう思い、カリオストロ夫人を完全に振り切ってクラリスを愛していたのか。
その辺りの感情表現に時間を掛けて掘り下げて欲しかったな☆
きっと、監督はCGに頼らない豪華絢爛なアクションシーンを大事にしたんでしょう。
ロマン・デュリス、クリスティン・スコット・トーマス、パスカル・グレゴリーなんて良い俳優を使っているだけに残念だな。
lupin2それと、建物の雰囲気や衣装、今回はアクセサリーが時代背景を感じさせるキーポイントになっています。
その割りにリアルに時代を感じることもあまりないのですが、いきなりラストになってあの大事件(未見の人のために何かは明かせません)を無理やり入れて、ルパンを時代の1ページに入れちゃおうってのは、浅はかな気が・・・(ーー;)
それに、妊婦を爆破する船から飛び降りさせるようなことをしてはいけませんよ (^^;)
ま、それでもですね~、ロマン・デュリスのアクションはそれなりに楽しめましたし、クリスティ・スコット・トーマスの悪女っプリも結構似合ってたし、パスカル・グレゴリーも渋かったので、まぁいいかって気分になっちゃうんだから不思議ね。
あぁ~、あと、私、女のクセに宝石とかまったく興味が無くて~ (^^;)、カルティエとか言われても、へぇ~。ぐらいにしか思えないんだけど、宝石が美しかったことは確かでございます。
どうやら、カルティエ所蔵の年代モノの宝石とか。
人間描写に関しては責任持てませんが、クラシックな雰囲気漂うアクション映画を楽しみたい方はどうぞ。

ルパン 公式サイト

ルパン 配給会社(ヘラルド)サイト

ルパン 公式ブログ

9月 20, 2005 映画-仏 | | コメント (7) | トラックバック (36)

2005/08/17

パピヨンの贈りもの

どうも最近、人間描写に関してその現実味が希薄な映画が多かったので、フランス映画が見たいなぁ~♪と、思っていたところ、WOWOWでこのステキなフランス映画を放映していたので、皆様にご紹介するね。
le_papillon


パリで一人暮らしをする老人・ジュリアン (ミシェル・セロー)は、時計屋を営んでいたが、現役を引退し、蝶のコレクター(収集家)として生活している。
ある日、同じアパートの上の階に引っ越してきた8歳の女の子、エルザ (クレール・ブアニッシュ)と知り合う。
エルザのママは看護助手をしていて、留守がちであり、ひとりでぽつんとしているエルザに彼は声を掛けたのだった。
その数日後、ジュリアンは何年も追い続けた幻の蝶 “イザベル”を捕獲するためにフランスの田舎町にある山へと向かう。
しかし、エルザはジュリアンが山に行くのを知り、彼やママに内緒でこっそり彼の車に乗り込んでしまう。
現地でそれを知ったジュリアンは、わずかな期間にしか現れないイザベルをあきらめることができずに、エルザを連れて山に入ることになったのだが、パリでは、それを知らないママが警察に届け出て、エルザは行方不明の少女として新聞を賑わせていた・・・。

le_papillon2おじいちゃんと子供が並んでるシーンを見ていると、なんだか、それだけでジーンときてしまう私 (;_;)
知りたがりの小学生の女の子の質問に、一つずつ丁寧に答えているジュリアンの姿を見てるだけで、ジーンとくる。
この映画がすごく良いなぁと思うのは、その二人の交流を描きつつ、今フランスが抱えている問題をさりげな~く織り込んでいるところ。
山や野原をイメージできないパリの小学生。
すごくきれいな野原で出会った測量士が作ろうとしている施設。
le_papillon3山の中でひっそりと暮らす酪農家の将来に対する悩み。
薄れゆく親子の愛情。
それは、小学生の目を通して一人の老人の姿を描くことで、今のフランスを作ってきた人から学ぶべきこと、考えなければいけないことを提示している。
ま、もちろんそんな難しいことは考えなくても、十分楽しんで見れるのでご心配なく。
この映画で特に気に入っているというか、ジーンときたシーンがあるんだけど、それは、ジュリアンが息子について語るシーン。
その内容についてここでは語らないけれど、何かすべきだったのに、何もしてあげられなかったことを、淡々と語っているジュリアンにはほろっとさせられた。
また、エルザを演じている女の子が、すごく自然なのがとてもいい。
先日のイン・アメリカでも思ったけど、これは理解して演じてるのだろうか?
それとも、ホントになりきっているのだろうか?
エルザの好奇心の目や、怒ったときの表情、うそをついちゃったときの表情なんか、とても自然だ。
子供は、これぐらい生意気な方がいいとつくづく思う。
この夏、「かわいい子には旅をさせよ」 と思わせるオススメの一本。
肩肘張らずにご覧下さい。

<余談>
蝶のコレクターと聞いて、私は真っ先に『羊たちの沈黙』を思い出し、この映画の中でも「収集家にはサイコ野郎が多い」なんてセリフがあったけど、この映画は、そんなタイプの映画とは全くの無縁なのでご心配なく。

8月 17, 2005 映画-仏 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/07/06

ダニー・ザ・ドッグ

リュック・ベッソン脚本の『ダニー・ザ・ドッグ』を見てきた。『レオン』以降のベッソンはまるで信じていないのに、それでもなんだか気になって。
ま、とりあえず、ストーリーを説明すると・・・。
dannythedog
ダニー(ジェット・リー)は、バート(ボブ・ホスキンス)の元で、幼い頃からオリの中で首輪をされ、餌を与えられ、闘犬(ドッグ)として育ってきた。首輪をはずし、「殺せ!」と命令された時、ダニーはそこにいる敵を全員痛めつける。そう教育され、生きてきた。そんな毎日を過ごしていたある日、いつものようにバートと共に向かった先は、倉庫のようなところで、そこにはたくさんのピアノが置いてあった。その時、そこで合図があるまで待つように言われたダニー。日頃、人と戦うこと以外に何も興味を示さないダニーなのだが、ピアノに異常な関心を示す。そこへ盲目の調律師・サム(モーガン・フリーマン)が現れて・・・。

つまりですね~、人の愛情を知らずに育ったダニーが、その調律師・サムと出会うことで、心の奥底に閉ざされていた人間性や愛情を呼び覚ましていく・・というお話でございます。
なんとも、現実味の無い映画で・・。
もしも、幼い頃から殺人兵器のように育てられた人がいたとして、人を殺すことに罪悪感を感じなかった人が、人に親切にされたからといって、すぐに罪悪感を感じるようになるものかなぁ?
首輪をはずしたら、「人を殺せ!」の合図だと信じ込んでいる人が、1ヶ月やそこらで首輪を外しても条件反射しなくなるの?
幼い頃に聞いた音楽を一度聞いただけで、失った記憶を全て取り戻してしまうの?
だったら、宗教で洗脳された人を脱洗脳する苦労も少なくていいよねぇ。そんな簡単なもんじゃないよねぇ。
ダニーが本当はいい子なんだ。と信じて疑わない盲目のサムとダニーを会わせて、二人の間に化学反応を起こすことに問題は無いと思うし、実際、そういうことはあると思う。
オオカミに育てられた少年のようだったダニーに、人間性が出てくるという話も悪くないと思う。
でも、人間性を取り戻すまでがあまりにも簡単すぎて、まるで真実味を感じないのよね~(ーー;)
これじゃぁ、単なるファンタジー♪でしょう。
それと、最も重要なことが欠けてる。
ダニーは、人間性を取り戻すまでに、多くの犯罪に加担して、多くの人を殺してきたでしょう。
愛情を教えることも大切だけど、罪を償うってことも大切でしょう。
殺意が無いとはいえ、多くの人を殺してきたんだから、あんな能天気なラストはいただけないな(ーー;)
あぁ、やっぱり近頃のベッソンは苦手なようだわ。
ベッソ~ン、オリンピック招致のVTRとか監督してる場合じゃないんじゃない???

今回脚本を担当したベッソンは、本当はこんな人じゃ無かったはず。ってことで、このベッソンはとても好き。『ニキータ』
殺し屋としての教育を受けた不良少女ニキータは、一人前の暗殺者になった時、愛する人と同棲していた。が、自分が暗殺者であることを伝えることができず、苦悩する・・。
ベッソンの1990年の作品。こうして書いていながら、また見たくなってきた。
ハリウッドでは、ジュリエット・フォンダが主演し、『アサシン』というタイトルでリメイクもされてる。
(見たかどうかも覚えてない(ーー;))
あまりにも切なくて、美しい映画だったなぁ。
女スパイの映画を見ると、どの映画も、少なからずこの映画の影響を受けているような気がしてならない。
主演のアンヌ・パリローもステキだったし、優しき同棲相手のジャン・ユーグ・アングラードもステキだった。
今では日本でも大人気のジャン・レノも、ちょっとした脇役で出演しているんだよね~。
ベッソンには、またこういう切なくて美しい映画を撮って欲しい。
待ってるよ!!

7月 6, 2005 映画-タ行(アメリカ), 映画-仏 | | コメント (2) | トラックバック (4)