ノーカントリー
★金曜日の夜、観ました。
いや~、とっても見応えのある面白い映画でした。
★登場人物は三人います。
・ハンター
・暗殺者
・暗殺者を追う暗殺者
・警官
★ハンターがあるお金を拾ってしまったことから、暗殺者と警官に追われることになってしまうというお話です。
★ハンターは普段培ってきた嗅覚で暗殺者から逃げ続け、暗殺者は、独自の論理で関わる人々を殺していきます。
この血も涙もない暗殺者をハビエル・バルデムが文字通りまさに怪演していて、アカデミー賞も納得です。
★この、ハンター・暗殺者・警官の中で、最も存在感が無いのは警官です。
存在感が無いどころか、警官として全く機能していないんです。
ある凄惨な事件が起きて、犯人を追わなければいけない立場であるはずの警官が、まず、犯人像がしっかり読めない。
ハンターが暗殺者に追われているというところまで読めているのに、そのハンターがどこにいるかも推測できない。
常に、暗殺者に先を越され、何か事件が起きてから事態を把握するのです。
しかも、警官自信がそれを自覚していて、
「いつもどこかにサインがあるのに、みんな何かが起きてから大騒ぎになる」
世の中を笑ってしまうシーンまである。
コーエン兄弟から警官に対する皮肉たっぷりのシーンです。
暗殺者からしてみれば、警官なんて一切無視であり、目標のハンターしか見えておらず、その獲物を捕まえるためには何でもやりたい放題ってことなのですよね。
一旦暗殺者の標的に入ってしまった人間の生きるか死ぬかはコイン任せ。
生死の確率50%。
★それってね、法律で人権を守られた法治国家を国とするなら、もはや国ではなく、無法地帯なんですよ。
警官だの法律だの個人の権利だのまるで無視なんだから。
★その「もはや国でなし」を象徴的に表現しているとても印象的なシーンが一つ。
★主役のハンターが一旦国境を越えてメキシコに逃げ、再度アメリカに入国しなければいけない場面があるんです。
アメリカからメキシコに入るのは、ほぼノーチェックです。
これは良く知られたことで、問題ないのですが、大量の移民入国と犯罪阻止のために、メキシコからアメリカに入国するのはすごく厳しいチェックがあるはずなんですよ。
★でも、この映画ではメキシコからアメリカに入国する時、
「お前はアメリカ人か?それなら、ベトナムに行ったか?」
という質問が入国審査の質問になっているんですよ。
その際、ハンターがスラスラと所属していた部隊を答えたもんだから、その係官は大歓迎しちゃうんです。
「お前は正しいアメリカ国民だ」と。
★そんなアホな話ないじゃないですか。
入国審査はパスポートに決まってるじゃないですか。
これって、コーエン兄弟の痛烈な皮肉だと思うんです。
ある年代から上の世代に対して、
「ベトナムに行ってない奴は国民じゃない」
的な見方があるんじゃないかと。
★それこそ、パスポートよりも軍歴。それも、その場でついたウソかもしれない部隊名が優先されるならば、
「もはや国ではなく、無法地帯」
ですよね。
★そして、老警官は嘆くんです。
「昔は治安に銃なんか必要なかった」
「しかし、今は次に何が起こるか分からない」と
何十年も警官として勤め上げ、現役を引退するとき、そこに残ったのはエスカレートしていく犯罪とただの怒りだけなんです。
★日本でもその思考を想像できない事件が増えて、この犯罪のエスカレートは国境を越えて増殖しているんだなぁと考えさせられました。
正直、暗くて重い映画ですが、演技も、画面に漂う乾いた色彩も、その皮肉たっぷりのメッセージも全てにおいて完璧な映画だと思います。
★この重さに耐えられる人にオススメの映画です。
ノーカントリー 公式サイト
5月 12, 2008 映画-ナ行(アメリカ) | Permalink | コメント (0) | トラックバック (1)





















ポール・ウォーカーは、“私の目の保養隊”の一人でして。





![[stmx] - ソーシャルマーケットプレイス](http://sun.d-064.com/images/myu_program/120-600_02.gif)