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2009/06/09

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

超話題作なんですね

公開前から、人に会うたびにこの映画について聞かれました。
「どんな映画?」「どうだった?」と。
正に「キムタクパワー」の注目度の高さに驚きつつ、公開日はもちろん知っていたものの、結局、どんな映画なのか知らないまま、初日に見てきました。

で、感想なのですが、かなり楽しんできました。

ストーリーというより、インパクト

どんな映画なのか、一言でと言われたら、
「夢。どちらかと言えば、悪夢のような夢を見た感じ」です。
特に、筋の太いストーリーがあるわけではなく、断片的で印象的なシーンが重なって、全体的に見たら、一本のストーリーができていた・・・そんな感じを受けました。

I_come_with_the_rain

同化することに希望が生まれる

この作品(=悪夢)の、全体に流れているのは
“同化”です。

この悪夢の鍵を握るのは、キムタク演じる“シタオ”です。シタオは、雨の降る日にこの世に光臨してきた救世主で、痛みを抱える人と“同化”することで、その人を癒すという“力”を持っています。

ジョシュ・ハートネットは、行方不明になったシタオの捜索依頼をシタオの父親受けた刑事です。
彼の特徴は、捜査対象と“同化”することで、標的を見つけるという彼独自の捜査方法を持っています。

フィリピンで死んだはずのシタオが香港に現れ、
「実は生きていた」という希望を抱きつつ、
ジョシュは香港で捜査を開始します。

欧米とアジアが同化する街で起きる同化の奇跡

その香港は、イギリス統治下だった過去があり、コンクリートジャングルと草木のジャングルが混在する、東洋と西洋が“同化”した街です。

ベトナム系フランス人である監督ののトラン・アン・ユンは、東洋と西洋が“同化”した人です。

この映画からは、、欧米諸国がアジアを破壊しようとしている姿と、その底知れない不思議なパワーを受け入れようとする両方の姿が見えてきます。

かつて、欧米諸国は東洋に対し、その恐るべき人間パワーに恐れをなし、破壊行為を繰り返し、アジアの姿を欧米諸国と全く同じように作り変える植民地政策を行ってきました。
しかし、その破壊行為の後に残るものとは、絶望感であり、見えてくるものは、世界の終焉です。

この象徴として登場するのが、ジョシュが以前、追いかけていたという
「死体を破壊してオブジェにする連続殺人犯」です。
このダリの絵に登場してきそうな、気分の悪くなるオブジェを作り上げた殺人犯は、人間を元々あった姿とは、全く作り変えてすまうことで、それで、人間の全てを知り尽くした気になって、全ての人間を征服した気になり、最後にはキリストを出してきて、
「人間が負う苦しみは、世界の終わりまで続く」と言い切ります。
つまり、人間を隅々まで知り尽くしたけれども、この世には希望がないと言います。

欧米諸国は、植民地政策を行うことで、アジアを知りつくし、征服したようでいて、何も理解できず、結局、今でも不思議な文化と考えを持つ人種だという考えは変わってなく、その考えを受けれようとすることも無いのです。

ジョシュは、その殺人犯の世界観に“同化”することで飲み込まれ、いつまでも悪夢が止まらないのです。
その苦しみからジョシュを救うように登場するのが“シタオ”です。
「人を破壊することで征服し、力を表現するのではなく、その傷を受け入れることで人に、世界に希望を与える」
それが、シタオの示す象徴です。

つまり、これからの時代は、より力のあるものが、大きな力を秘めたもの破壊して我が物にしようとする時代ではなく、相手の力を受け入れることで癒しと希望を見出そうとしています。

その考えは、ラスト近く、シタオとイ・ビョンホン演じるマ・ドンポが対峙し、
ドンポがシタオに、涙を流しつつ
「恐れてなんかいない」
と言うシーンに表現されています。

より力のあるもの(=ドンポ)が、「恐れていない」と口では言いつつ、なぜか、心が癒されているために、自然に涙がこぼれています。

アジア人の監督らしい、とてもスピリチュアルなシーンです。
個人的に言うと、このシーン、イ・ビョンホンの最高の演技が見られると思っていますが、このシーンのイ・ビョンホンの演技力がどれだけすごいかを語りだすと止まらないので、それは、またいつか、どこかで。

この世界観そのものが、かつて、先進国の共産主義と資本主義によって、国民を二つに引き裂かれたベトナムの血を引きながら、フランス人として生きてきた、トラン・アン・ユンそのものだと思うのです。

今まで、イギリスの統治下にあった香港のように、欧米がアジアを破壊して西洋化してきたことに警笛を鳴らしつつ、本来のアジアらしさを失い、見た目には全く変わらないアジア人同士が中傷し合い、傷つけ合う状況にある、中国、香港、韓国、日本に対する警鐘でもあり、欧米諸国と、アジアが、互いに本当の力を認めて受け入れることに希望が生まれるのではないかという監督の考えが見えてきます。

だからこそ、最後にシタオをジョシュが救うシーンに、この悪夢の最後に残された希望が見えています。

まぁ、結局のところ、
欧米も、アジア人も911以来、お互いの力を恐れていて、すぐに、武力的に、経済的に制圧することを考えるけれども、相手の力を尊重すべき時代に入ったのではないかというわけです。
それって、理想論ですけどね。
あくまでも、個人的な“夢”だと思えば、それもアリのような気がしてきます。

注目される俳優陣

久しぶりに見たジョシュですが、当然ながら、少し歳をとったような気がするのがなんか寂しいです。
なんか、ジョシュには、いつまでも青年でいて欲しい気がしてね。
でも今までのジョシュで言ったら、どれに近いかと言えば、
バージン・スーサイズ」のジョシュに近い気がしますね。
あの頃の繊細さを保っていると思います。
毎年、定期的にメジャー大作に1~2本出れば、それで暮らしていけるのに、こうしてインディペンデント系の映画にマメに出ているその姿勢が好きです。

イ・ビョンホンですが、すいません、かなり贔屓目かもしれないですが、一番おいしい演技をしていたと思います。ホホ。
恋人が行方不明になっときの寂しい表情とか、恋人が帰ってきたときの表情とか、やっぱり、さすがですね。
あの表情を世界に配信できただけでも、この映画にでた甲斐があったと私は思います。
ジョシュと同じシーンで出てきても、見劣りしないというか、遜色がないというのも、嬉しかったです。

キムタクですが、ごめんなさい。
私には、あまり印象に残っていないです。
でも、この映画のキーパーソンだったことは確かだし、この役をオファーされたというだけでも、すごいことだったんではないかと思います。

残念だったのは、久しぶりに見たサム・リーがちょっとブクブクして、精彩を欠いていたこと(^^;)と、
ラストの方は、無理やり話を終わらせるようにバタバタと終了していったことと、
ファム・ファタル(運命の女)であるリリが、監督にとっては運命の女でも、この映画では、ちょっとファム・ファタルというには、ちょっとイメージが遠かったことです。

話が分かりづらいという意見も出ていますが、私は、いくつも象徴的なシーンがでてきて、パズルのように組み合わせるのを楽しんだし、普通だったら、競演するはずの無い俳優たちが競演しているのもそれだけで、楽しかったです。

ただ、もう一回見るかといわれたら、何せ、希望があるとはいえ、“悪夢”には違いないんで、ちょっと考えちゃいますね。

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 公式サイト

6月 9, 2009 映画-仏 |

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