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2008/10/19

火車 / 宮部みゆき・著

★8月下旬からコツコツと始めた『新潮文庫の100冊を読んで見よう』活動の4冊目です。
  宮部みゆきは好きなので、この『火車 』を読むのは、2回目なんですが、悲しいことに、前回読んだはずの内容の記憶が全く無く・・・(ーー;)
  本の発行年月日から想像するに、大体10年程前に読んでいたようなんですが、今回、2回目を読んでみて、内容を全く忘れてしまった理由が分かったような気がしました。

★この本、カード破産や、サラ金の多重債務の末に、悲しい人生を送ることになってしまった人たちについて描かれているのですが、10年前、社会人になりたての私には、その多重債務だの、債権者だの、債務者だの、その人たちの気持ちだのが理解できなかったために、この本の内容についても、ちゃんと理解していなかったんだと思いました。

★そして、十年経った今、この本を読んでいて、主人公たちの気持ちがぐっと来ました。
  途中、何回か泣きそうになったことも…。

★この『火車 』には、借金の犠牲になった二人の女性がでてきます。
  カード破産になった人と、多重債務で、一家離散になってしまった家族の娘。

★一見、何のつながりもの無い二人がある事件の被害者と加害者になるのです。
  当然、気の毒なのは被害者で、悪いのは加害者なのですが、その加害者にも同情すべき点がいくつかあって、完全な悪者と思えない。
  じゃぁ、何が悪いのかと言えば、この国の金貸し、ローンなどに対する金融政策にあるのではないかと思ったんです。

★その金融政策に詳しいわけではないので、あまり突っ込んだ話はできないし、この『火車』が書かれた当時と、現在では、日本の金融政策も変わっているので、事情が違うとは思うのですが、あまりにも簡単に高利貸しからお金を借りることができるシステムっておかしいでしょう?って話なんですよ。
  例えばね、ある金属でできた製品があって、「使い方を間違えると体に刺さって、場所が悪ければ指を一本失うこともある」なんてことがあったとすると、PL法とかで、使用上の注意について、うるさいぐらいに消費者に分かりやすく表示しないといけない法律があるじゃないですか。

★それに比べて、この高利貸しって、この金額を今借りると、1年後には、これだけ膨れ上がって、こんなに大変になるという説明を債務者に対してどれだけ徹底して行っているんだろうなぁと思うのですよ。
  そこがあまり徹底されていないから、安易にお金を借りる人が急増したので、『自己破産』という制度を作ったのだけれども、その『自己破産』についても、当然、債権者が詳しく説明するはずもなく、『自己破産』の仕方を知らない人は、日々借金苦が増して、最終的には自殺する人が出てくるという仕組みになっているんですよね。
  この本を読んでいて、その仕組みが良く分かって、弱者に優しくない国だなぁと思ったんです。

★つまり、身の回りにある製品や、「蒟蒻畑」を食べて死んでしまうということについて、製造元に対し、厳しくすることも必要だけれども、被害者の数や、自殺者の数から言ったら、この高利貸しからの借金苦の方が遥かに数が多く、そのことに対し、もっと親切なアナウンスがあるべきじゃないかと、もっと分かりやすい救済策があるべきだと思ったんですよ。

★偶然にも、今、世の中は、“世界的経済不況”に入っていて、日本は、他の国に比べてまだ余裕があるなんて言っているけれども、実際問題、倒産している企業がたくさんあって、その中には、家族を養っていかなければいけない人もいれば、家や車のローンを払わなくてはいけない人も大勢いて、銀行が貸し渋りなんて始めたら、その人たちは、高利貸しに頼らなければならなくなってしまい、挙句の果てには借金地獄が大勢でてくるような気配さえ感じるのですよ。

★でも、高利貸しが高い割合で日本の経済を支えている事実があって、国もそのシステムを変えろと強くは出れない情けない一面もあり、運悪く借金苦に陥ってしまった人たちを救える手立ては無いような後味の悪さを感じました。

★小説のラスト、事件が解決したような、しないような余韻を残して終わっているのですが、それは、宮部みゆきの加害者に対する優しさではないかと思うのです。

10月 19, 2008 読書 |

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