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2007/06/17

ホワイト・オランダー

なんだか、無性にミシェル・ファイファーの映画を観たくなったのです。
そんな中、この映画を観ていなかった・・と思い、レンタルしたのです。

White_oleander1


母一人、子一人で暮らしている母娘。
娘が十五歳になった頃、母は恋人を殺した容疑で有罪になり刑務所に収監されてしまう。

娘は里親と施設を転々とし・・・。

離れ離れになった母と娘。
十代の娘が遠く離れた母とのコミュニケーションを通して成長していく姿を描いています。

すごく地味だし、淡々としているけれど、とても知的でじんわりと感動する良い映画でした。

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題名にあるホワイト・オランダーとは、『白いキョウチクトウ』を意味しています。

キョウチクトウという木は、大気汚染にとても強いことで有名です。
そのため、空気浄化の効果を期待され、工場が立ち並ぶ工業地帯や、排気ガスが激しい国道沿いなどによく植えられています。
春から夏にかけて、鮮やかなピンクと、真っ白な花を咲かせます。
しかし、キョウチクトウには一つ注意点があり、見た目の美しさに反して、猛毒を持っているのです。

この映画の題名になっているそのキョウチクトウは、ある象徴になっています。

ミシェル・ファイファー演じる母は、誰よりも美しい。
刑務所のような掃き溜めにいても、周りの環境に汚染されることなく、美しく生き続けていきます。
しかし、一度その身を削るようなことがあれば、身を削った相手に対して毒を吐きます。
相手が、死のうが死ぬまいが気にすることなく・・。

正に、母の生き様こそがキョウチクトウなのです。

その身を削るようなこと・・とは、娘を傷つけるような人たちです。

娘の愛情だけで暮らしてきた娘・アストリッド。
母はアストリッドが社会で生きていけるかどうか不安でしょうがなく、誰よりも心配しているのです。

はじめは母の愛情が恋しかったアストリッドも、社会へ順応し、自分が愛する周りの人々へ毒を吐き続ける母の本性に耐え切れなくなってくるのです。
そして、アストリッドが最後に母へ願ったのは、母が自らアストリッドを切り離すこと・・。

アストリッドにとっては耐え切れない母でしょうが、私の目には、自ら反面教師となることで社会で生きていく厳しさを教え込んでいく母の姿が見えました。
簡単に人を信用してはならないと・・。

White_oleander3


結局、自分にとっては体の一部だった娘を切り離すことになった母。
それでも、最後まで毅然とした母の姿がとても印象的でした。
美しく咲きながら、誰も寄せ付けようとしないキョウチクトウのように、毅然と娘の前でさえも泣き崩れたりせず、前向きに生きていく母の姿。
ミシェル・ファイファーがこの役を演じて良かったと思わせる瞬間でした。

あぁ、良い映画だ・・。

しかし、この映画、キョウチクトウの性質を知らなければ、なんてことないただの映画なのです。
キョウチクトウという木に対する説明もとてもサラッとしたものなので。
その辺の毅然とした感じも、この話に合っていて、とても気に入っています。

私が住む地域は、京浜工業地帯のど真ん中であり、このキョウチクトウがずらっと並ぶ工場地帯が近くにあるような地域です。

幼い頃、キョウチクトウが満開の時に、その近くを通ると、
「あの花がきれいだからといって、近づいちゃダメよ。
とても強い毒を持っているんだから・・」
と、母によく言われました。
この映画を観ながら、そんな幼い頃の記憶を思い出したのでした。

この映画の原作本が『扉』というタイトルで出ているらしいので、今度、読んでみたいと思います。

6月 17, 2007 映画-ハ行(アメリカ) |

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