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2006/06/08

ブロークン・フラワーズ

ジム・ジャームッシュ最新作は、ちょい悪オヤジの切ないロードムービーだった。

Broken_flowers4

<STORY>
ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)は、コンピュータ業界で大もうけをした後に引退し、若い恋人・シェリー(ジュリー・デルピー)とのんびり暮らしていたが、ある日、シェリーが家を出て行ってしまった。
その日、ドンの元に届いた一通のピンクの手紙。
それは、20年前にドンと付き合っていたという女性からのもので、そこには、「あなたと別れた後に妊娠していることを知りました。その時、あなたに知らせずに出産することを決心し、無事男の子が生まれました。その息子が、最近旅に出ました。どこへ行くと言わずに出て行きましたが、父を探す旅かもしれないので、あなたにお知らせしておきます・・」と書かれていた。
隣人のウィンストン(ジェフリー・ライト)は「誰が書いた手紙かを知るために心当たりのある女性に会いに行け」と勧め、あまり乗り気でなかったドンだったが、結局、ウィンストンが書いたシナリオ通りに、当時付き合っていた4人の女性を巡る旅に出る・・・。

Broken_flowers1昨年のオーリー主演『エリザベスタウン』が“父を巡る旅”ならば、これは、“自分の過去と向き合う旅”が描かれる。
もし、私が、20年前(うーーん・・・その頃は中学生だから・・・)、10年前に好きだった男に会いに行けなんて言われたら、即、ウゲーーー( ̄□ ̄;)だな。と思ったんだよね。
多分、それは私にとって、過去と見つめ合う余裕が無いというか、そういう時期じゃないからなのかなぁ。
そんな自分の気持ちもありつつ、この映画を見ていたけど、「ドンは何を思ってこの旅をしてるだろうなぁ・・」ってずっと考えてた。
「ドンはその手紙に何を感じただろう・・」って。
「Welcome!!」と言いながら、昔の彼女が両手を広げる姿かなぁ。
「ずっとあなたに会いたかった」って言って涙ぐむ姿かなぁ。
そんなことじゃなく、実は、そこに“希望”を求めていたんじゃないかと思うんだよね。
必死で働いて、女遊びもいっぱいして、お金は稼いだけど気付いたたら一人。
偶然、舞い込んだ新しい家族のお知らせ。
ここから新しい人生が始まる・・と感じたところもあるんじゃないかなぁ。

Broken_flowers2でも、この映画には、そんなことはあり得ないの。
温かく迎えてくれる人なんて誰もいない。
みんな生きるのに必死なんだよね。
そこに妙なリアリティがあって、面白いの。
異常に奔放な娘を持ったローラ(シャロン・ストーン)、絵に描いたような主婦になっていながら、なぜか不幸な雰囲気が漂うドーラ(フランセル・コンロイ)、実はゲイに転身??の疑いさえ感じさせる不思議女カルメン(ジェシカ・ラング)、暴力的な男たちに囲まれていかにも不幸そうなペニー(ティルダ・スウィントン)・・・。

Broken_flowers3リアルだからこそ、終わりは侘しさと空しさが残るのね。
だって、ドンがいいおっさんになって気付いたのは、「今を生きること」だよ。
切ないよなぁ~。
仕事に夢中になって、今を省みずに暮らしていると、何も残らないんだよって。
なんだか、こんな余生は送りたくないよなぁ・・と考えたりもしたよ。
でも、そんなことに気付いただけでも正解だったかも。
人間、いつかは過去と向き合うときも必要なのかもねぇ。
全体的にホノボノした映画なのに、そんなことまで考えちゃった(^^;)

ちょい悪のビル・マーレイのとぼけた姿もステキだけど、音楽と魅力的な女性たちもステキ。
女優達がいいんだよねぇ。
Broken_flowers5みんないいけど、特にクロエ・セヴィニーが印象的だったわ。
彼女のスタイルの良さは相変わらずだったし。
どことなぁく、冷たい雰囲気がする役柄がピッタリで。
彼女のジェシカ・ラングにしたヒップタッチが妙に色っぽかったし。
さすがジャームッシュで、音楽もかっこいいんだよねぇ。


たまにクスッと笑いつつ、基本的にはほのぼので、最後にはなんだか切なくなってしまうこの映画。
過去を振り返ることに興味は無いけれど、久しぶりに一人旅にでも行きたいなぁと思ったよ。
ロードムービーがお好きな人にオススメの一本。

ブロークン・フラワーズ 公式サイト

6月 8, 2006 映画-ハ行(アメリカ) |

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自分の息子がいるというピンク手紙を貰い、昔の恋人たちを訪ねる旅に出るロードムービー。主演はビル・マーレイ。 相変わらずのオフ・ビート感はいつものジム・ジャームッシュ監督。ビル・マーレイの何とも言えないとぼけた雰囲気、独特の間がこの作品を面白くしている...... 続きを読む

受信: 2006/06/10 0:24:34

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