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2006/01/19

ダウン・イン・ザ・バレー

ノートンですぅ。
私にとって、エドワード・ノートンは、“どんなことがあっても絶対観たい俳優”のうちの一人。
彼は出演作や演出家に恵まれたこともあり、映画デビュー(『真実の行方』)から9年経って初めてのインディーズ作品出演なんだって。
ちょっと意外だったね。
私としては、この正月シーズン最大の期待作であるこの作品は、ハーレンという一人の男の生い立ちについて、想像し、考えさせられる作品だった。down_in_the_valley

<STORY>
カリフォルニア州サンフェルナンド・バレー。
17歳のトーブ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、友人たちとビーチへ遊びに行く途中立ち寄ったガソリンスタンドの店員・ハーレン(エドワード・ノートン)と出会う。
今時、時代遅れなカウボーイの格好をしたハーレンのことが気になったトーブは、彼が仕事中であることを知りながらビーチへと誘う。
声を掛けられたハーレンは、その場で仕事を辞めてトーブについていってしまう。
そして、そのまま二人はビーチで恋に落ち、ハーレンはトーブの父・ウェイド(デイビッド・モース)にトーブと付き合うことを認めてもらいたいと願う。
数日後、トーブの家を訪ね、トーブの弟ロニー(ローリー・カルキン)とも仲良くなったハーレンだったが、そのミステリアスな雰囲気ゆえにウェイドはハーレンを認めることができない。
以前、バレーの郊外にある牧場で働いたことがあるというハーレンの誘いで牧場に出掛けたトーブだったのだが、そこである事件が起きてしまう・・・。

まず、この映画を今後観る予定の人は、ここから先は読まずに、観終わってからお読み下さい。

down_in_the_valley2 なんかねぇ、観終わってからいろいろ考えちゃう映画なんだよね。
“ハーレン”という嘘つき男を描いてはいるけれど、「なぜ彼は嘘をつき続けたのか」については、何も明確な答えが描かれていないんだよねぇ。

そこで、私なりに、「ハーレンという男の人物像」について考えてみた。
すると、“ハーレン”という男を知るための手がかりが二つあったんだよね~。

一つは、ジョーへの手紙。
ハーレンが父親に宛てたように書かれたその手紙の中で、ハーレンは、「バリバリ仕事をして、今ステキな恋をしている」と明らかに嘘で美化した自分を描いてる。
でも、実際の彼は、窃盗罪で1年間服役し、女の子にデートに誘われてバイトを辞め、恋をしてはいるけれど、彼女の父親から拒否される男。
どうもそこにはね、父親に期待されながらも、その期待通りの立派な息子になることができなかった男の姿が見えるのね。

人生に満足がいかないまま新しい土地に住んで、名前も変えて新しい人生を出直そうと思ったところに現れたトーブは、彼という人間を初めて認めた存在であり、希望だったんだろうね。
ところが、またしても父親(トーブの)という存在に拒否されてしまう。
そこから、嘘がさらに加速しちゃうんだね。

そして、もう一つの手がかりは、父ウェイドのセリフで「世の中強いものが生き残り、弱いものは生きていけないんだ」とロニーに語るシーン。down_in_the_valley1

ロニーは、もう結構大きくなってるのに、夜も一人で眠れないぐらい怖がり。
そんな弱い自分は、生きていけなくなるんじゃないかという不安を掻き立てるセリフになってるの。
でもね、父親の望みどおりの男になれなかった男・ハーレンにとっては、ロニーの気持ちがすごく分かるんだよね。

だからこそ、ハーレンはロニーに「強くなれ」というメッセージを送るし、ロニーもハーレンに親近感が沸いちゃうんだよね。

つまり、常に拒否され続け、タフに生きぬくことができないハーレンは、窃盗と嘘でその場をしのいで生きてきたんじゃないかなぁ。
そんな彼が、何でも腕力で解決しようとするアメリカとその姿が重なるようなトーブの父・ウェイドに殺されてしまうシーンはなんだか切ない。

down_in_the_valley3
ハーレンにとって女神のような存在のトーブを演じるエヴァン・レイチェル・ウッドは、本当に美しい。
すごくこの映画にピッタリだと思う。
常に嘘で虚勢を張ろうとするハーレンに対し、常に自己主張を続けるトーブの意志の強さが表情にでてるんだよね。
今年で19歳になる彼女。
今後が楽しみな女優ですの。

弟を演じたローリー・カルキンは、あのマコーレー・カルキン一家の末っ子。
マコーレーもキーランも同じ顔してるし、キャラはキーランとかぶってるから今後は大変だろうなぁ。
今回は、寂しがり屋でちょっと陰鬱な感じが良かったな。

ノートンに関しては言うことなし。
久しぶりに、『25時』が観たくなったなぁ。
既に、次の作品が待ち遠しいよ。

ハーレンという男について、その生い立ちを全く語らないことが、この映画の想像力を刺激するところではあるけれど、ちょっと消化不良になってしまうのも事実。
結局、ハーレンについてあまり確信を持てないまま、映画が終わってしまったからね。
最初の30分ぐらいで、「ん?ノートンが純愛映画・・??」なんて思ったんだけど、そんなことはあるはず無いよね(^^;)

エドワード・ノートンが大好きな人にはオススメの一本。
何も情報を仕入れずにご覧下さい。

ダウン・イン・ザ・バレー 公式サイト

1月 19, 2006 映画-タ行(アメリカ) |

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コメント

初めてのインディーズ作品っていうのはホントに意外でしたー。
でも、なるほどいかにもインディーズな物語でしたよね。
そして、ノートンが出演を決めたのも納得の作風。
風変わりでおもしろかったですー。
(ただのラブストーリーじゃなくてよかった)
私も『25時』はすっごく好きですー

投稿: かえる | 2006/01/20 1:24:57

こんにちわ。再び登場です。
素晴らしいレビューですね。確かに、ハーレンというキャラクターは『未知数』でした。消化不良と感じる人も居るかもしれないと思ってたんですよ。でも、toeさんの「ハーレンという男の人物像」は大変参考になりましたよ!改めてじっくり観たくなりました。

投稿: 隣の評論家 | 2006/01/20 19:48:18

こんばんは。
私はどうもハーレンという男がよくわからなかったんですが、
toeさんのレビューを読んでやっと少し理解することができました。
エヴァン・レイチェル・ウッド綺麗ですよねー★

投稿: リカ | 2006/01/22 0:38:59

>かえるさん

さすがノートン、普通の恋愛映画じゃないですよね。
私も思いました。
面白かったですよね~。
『25時』いいですよね~。
あぁ、やっぱり久しぶりに観たい。

>隣の評論家さん

お褒めのお言葉をいただき、ありがとうございます。
きっと、人それぞれのハーレン像があるかと思うのですが、私なりのハーレン像を書いてみました。
その心理が複雑なところが、ノートンらしくて良いですね。

>リカさん

ハーレンは難しい男ですよね(^^;)
理解しがたいところをいろいろお持ちです。
エヴァン・レイチェル・ウッドは、キレイな子でしたね~。

投稿: toe | 2006/01/26 0:36:31

感想を読ませて頂きました。
私も これくらい ゆっくりと 考えながら 乾燥がかきたいものだ・・としみじみ思いました。
そうですね・・
もしかしたら アメリカ社会への批判?も あったのかもしれませんね・・
そう思って 考えると もうちょっと評価を高くしても良かったかな?・・苦笑

投稿: | 2006/02/07 13:35:04

>猫さん

こんにちは。

ありがとうございます。
つい、大好きなノートンですから、深い思い入れを持ってみてしまうのです(^^;)

アメリカ社会への批判・・。そうですね。
あったと思います。
武力では悲しみを生むだけで、問題の解決にはならないとか・・。
銃社会のこととか・・。

あ、私もそこまで考えが及びませんでした(^^;)

投稿: toe | 2006/02/14 0:30:24

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